色々な鉄道の噂を研究する「電車の雑学研究所」シリーズ。ここでは鉄道にまつわる様々な雑学・噂・都市伝説を検証して、皆さんに楽しんで頂くカテゴリーです。
最終回は「幽霊が出て駅員がノイローゼになった?」です。
ノイローゼに…
時は1973年…の十数年前、つまり1960年代頃。まだ京阪の複々線高架がまだ守口市までだった時代のお話。
人身事故が当時地平駅だった古川橋駅西側の踏切で相次いだのですが、ある時運転士さんが線路に降りて確認しても全く遺体が見つからない、という事件がありました。
……時を経てしばらくした後、古川橋駅では「人身事故で亡くなった方の幽霊が出て声をかける」という噂が、いつのまにか広がっていたのです。
それだけならまだしも、なんとこの噂話を真に受けて駅員さんが実際にノイローゼになってしまった、というエピソードがあるのです。
古川橋駅の大阪寄りの門真6号踏切で,十数年前,自殺などの人身事故が続いた.その後,梅雨の夜半に,運転士が確かに飛び込み自殺を轢いたというのに,いくら探しても遺体が見当たらないという事故があった.
やがて,いつよはなしに,古川橋の改札係が,終電近くに改集の札をはずしに行くころ,幽霊が出て声をかけるという噂がたち,当該駅員が続いてノイローゼに倒れたという.
出典:電気車研究会「鉄道ピクトリアル No.281 臨時増刊号 京阪電気鉄道特集」、1973年7月
場所について
文献に出てくる「門真6号踏切」…とは、いったいどのあたりでしょうか。当時の地図から探してみました。
当時の地図を見てみましょうか。まだ古川橋駅の周辺は田園が多く見られますね。
大阪市から見て北東…すなわち鬼門にあたるということもあって、開発が遅れていたのだそうです。
古川橋駅のすぐ西側…ですから、ちょうどこのあたりの踏切でしょうか。
鉄道の「幽霊騒ぎ」
ノイローゼになるほどの幽霊騒ぎですが、実は近年でもこのような「人身事故が起きたはずなのに人がいない」という事例は起こっています。
例えば、2014年11月16日、夕方16時20分頃の南海泉大津駅。
ある女性が線路に飛び降り、やってきた空港急行関西空港行き列車の下に轢かれてしまった……ように見えました。
…しかし、電車が接触したような形跡がない。
すると、なんとその女性が電車下から這い上がってきたのです。
このケースでは這い上がった姿を目視されていますが、もし事故が夜間で見えづらい状態だった場合や、車掌が確認する前に這い上がった場合…、上述の京阪のような幽霊騒ぎになると思いませんか?
ちなみにこの時も「人が消えた」と騒ぎになったらしいので、こういう幽霊騒ぎは年1ペースぐらいであるようです。
7回を振り返って
5月からスタートした「電車の雑学研究所シリーズ」。
足掛け2ヶ月間・全7回に渡ってお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
個人的にも鉄道の様々なエピソードが知れて楽しい企画だったんですが、段々とアクセス数が下降してしまったこと、更にアクセス数に見合わない調査時間や文章量の多さなど、意外とコストがかかるコンテンツになってしまっていました…。
どうせやるなら、一気にコンテンツをギュッと凝縮できる書籍の方が良いかもしれない…と思っているので、今後は書籍にて新たなシリーズ化を目指そうと考えています。
また本になった際には、是非宜しくお願い致します!
バックナンバー
参考文献
電気車研究会「鉄道ピクトリアル No.281 臨時増刊号 京阪電気鉄道特集」、1973年7月
産経ニュース『ネット騒然「電車の人身事故で人が消えた!?」 その真相は…』
http://www-origin.sankei.com/smp/west/news/141116/wst1411160069-s.html