3回目を迎えました「電車の雑学研究所」シリーズ。ここでは鉄道にまつわる様々な雑学・噂・都市伝説を検証して、皆さんに楽しんで頂くカテゴリーです。
第三回は「うどん屋が親会社の鉄道会社がある」です。
何故このように?
その正体は「水間鉄道」。南海電鉄の貝塚駅から水間観音駅まで5.5kmを運行している小さな鉄道会社です。
実はそんな水間鉄道の親会社は、うどん屋などを経営する「グルメ杵屋」という会社で、株式を100%保有しています。
一見全く関係のない両者ですが、そのきっかけは水間鉄道の経営破綻にありました。
バブル崩壊後、展開していた不動産事業が段々とうまく回らなくなっていき、2005年には給料も支払われず、売上高が5億円しかないのに258億円もの借金がある状態。
どこから見ても経営が破綻していて、いよいよ倒産か…という時に手を差し伸べたのがグルメ杵屋でした。
大阪市出身でグルメ杵屋の創業者である椋本彦之さんが、戦時中に貝塚へ疎開していた縁でこの支援が決定。しかし椋本さんは飲食業のプロフェッショナルながら鉄道は門外漢。
そこで鉄道には鉄道の専門家を…ということで、元南海電鉄から招聘したのが現在の会長である関西美津治さんでした。
それ以後、水間鉄道の親会社はグルメ杵屋となり続けているのです。
ちなみに、グルメ杵屋のセグメント別に分かれるとこんな感じ。
レストラン事業 | 259億6500万円 |
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機内食事業 | 56億8600万円 |
業務用冷凍食品製造事業 | 33億4400万円 |
不動産賃貸事業 | 7億300万円 |
運輸事業(水間鉄道) | 4億5700万円 |
出典:グルメ杵屋「第54期年次報告書」より
水間鉄道の売上は微々たるもので、パーセンテージにして僅か1.2%。「大きな赤字を出さなければそれでいい」ぐらいの位置づけなのかもしれませんね。
参考文献
関西電気保安協会『電気と保安』2004/11・12月号 No.464
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