本当にびっくり……
南海電鉄は、現在傘下にある泉北高速鉄道を吸収合併し、経営統合すると発表しました。
統合予定時期については、「2025年度の早期を目指す」としています。
かつては第三セクター「大阪府都市開発」が保有していましたが、2014年に南海電鉄が株式を取得して子会社化。2022年には全ての株を保有して完全子会社化していました。
泉北高速鉄道は1965年12月創業なので、予定通り2025年の合併となると、約60年の歴史に幕を閉じることとなります。
変わる点
決まっていること
現時点で公式から発表があるのは、運賃についてのみです。
統合後は同じ会社になることで、2社間の運賃から1社の運賃になる為、通勤定期・通学定期を大幅に値下げするようです。
ただし、普通運賃については据え置きのままとのことです。
これは南海の普通運賃制度を適用してもこの価格になることが理由とのことです。(この節の情報提供:マーライオン様)
難波~泉ヶ丘間の運賃例
通勤定期:23,980円→18,770円(▲5,210円)
通学定期:9,670円→6,060円(▲3,610円)
普通運賃:490円のまま
また「物流事業はどうなる?」とのコメントを多数頂いたので補足しておくと、泉北高速鉄道が手掛けている物流事業については(他社へ事業売却がなされない限りは)そのまま南海電鉄が引き継ぐことになります。
変わりそうなこと
ここからは過去の実績を踏まえて、今後変わっていきそうなことをお伝えしていきます。
①社章
現在泉北高速鉄道で使用されている社章は、今後南海の羽マークへ切り替わっていくものとみられます。
この社章(ロゴ)は、泉北の「セ」とRailwayの「R」、Velocity(高速の意味)の「V」をそれぞれ組み合わせたもので、あわせて大阪の鳥である「百舌鳥」を表しているものです。
大阪メトロの時もそうでしたが、経営母体が変わるとまず変更されるのがこの社章部分です。
2025年までに順次、このマークが消滅していくものとみられます。
②駅名標
駅名標も変えられることが多いもの。現在の泉北高速鉄道様式から、南海電鉄が用いているタイプへの交換が行われそうです。
ただ、泉北高速鉄道は近年独自のサイン様式で駅名標を更新していることから、この区画だけ残される可能性もあります。
③路線名
現在、泉北高速鉄道が運営する路線(中百舌鳥~和泉中央間)には「泉北高速鉄道線」という名前がついていますが、この名称が変更される可能性があります。
このままだと「南海電気鉄道の泉北高速鉄道線」というややこしい名前になるので、例えば「(南海)泉北線」という名称になったりするかもしれませんね。
④電車の色
白をベースに水色と青色…というのが泉北高速鉄道のカラーですが、塗装についてはコストもかかる為に大掛かりな変更をされる可能性は低そうです。
ただ、2022年から水色が省略され白と青のラインだけになった電車が登場しており、新車(9300系)や5000系などで適用されています。
このカラーパターンについては、今後5000系・7000系・7020系へも適用され増加していくと以前発表がありました。
⑤光明池車庫の統合/縮小
現在泉北高速鉄道の車両検査が行われている光明池車庫については、列車留置場や定期検査をする場所に規模を縮小するか、千代田車庫への統一が行われる可能性があります。
大阪メトロでも森ノ宮にあった車両工場が、2018年に緑木車両工場へ統一されたことがあります。
既に変わったこと
以前もお伝えした通り、最新鋭の泉北9300系は南海8300系をベースに作られ、基本的な仕様は合致しています。
また、2014年からは南海12000系と共通仕様の特急「泉北ライナー」車両を導入するなど、効率化の取り組みを進めていました。
一方で第三セクター(大阪府都市開発)時代は、南海とは別個でで電車を設計・製造しており、5000系・7000系・7020系などの名車が生まれてきました。
7000系(写真)では貫通扉にプラグドアが、7020系は関西圏で初めてのLCDディスプレイを採用するなど、潤沢な資金を基に最新鋭の設備が導入されたりもしました。
大きく動く東西の「準大手」
先日お伝えしましたが、東の方では「新京成電鉄」が2025年をもって京成電鉄に吸収合併されることになりました。
この時「準大手私鉄が減る」というお話をしましたが、今回の泉北高速鉄道もまた準大手私鉄ですので、2025年をもって準大手私鉄2社が消滅する運びとなります。
残る準大手私鉄は「北大阪急行」「山陽電気鉄道」「神戸高速鉄道」の3社のみになります。
ダイナミックに鉄道の歴史が変わりゆくさまを間近で見ることになろうとは…。
いやはや、今年も後少しというところに入った特大ビッグニュースでした。
関連リンク
参考文献
南海電気鉄道「連結子会社である泉北高速鉄道株式会社との経営統合に関する基本合意のお知らせ 」