名古屋鉄道の支線である尾西線(びさいせん)に、近代的なコンクリートの廃駅があるのをご存知でしょうか。
廃止されたのは2006年と比較的新しく、路線が廃止されてもないのに近代的な駅機能だけが除却された、珍しいケースの廃駅があるんです。
神戸電鉄にも菊水山駅という同様の例がありますが、あちらは山間部で人家が無いのに対し、こちらは平面駅でそれなりに住民もいらっしゃいます。
そんな存在に少し興味が湧いた私は、弥富地域であった別の取材の傍らふらっと旧弥富口駅を覗いてきました。
本線上の廃駅
弥富口駅は1933年(昭和8年)に開業した、結構由緒のある駅です。
1933年というと大阪メトロの御堂筋線が開業した年でもありますから、いかに歴史がある駅なのかがわかりますね。
長らく地平駅でしたが、1983年に主要道路(愛知県道40号線)との立体交差工事が行われたことで高架化し、そのまま廃止の2006年を迎えました。
つまり、高架の駅設備としては僅か20年だけの短い存在だったのです。
駅は1面1線の棒線駅ですが、将来的な複線工事を睨んでホームは2線が準備されていました。
高架線だけ見ると、新幹線の橋脚と見紛うような立派な建築ですね。せり出しているのが弥富口駅の部分です。
本線自体は現在も現役の鉄道路線(尾西線)として機能している為、しっかりと基礎工事・建築工事がなされています。
廃止にはなりましたが、階段などの駅構造物は撤去費用がかかるからなのか、そのままの状態です。
駅入口部分。今にも駅として供用出来そうな雰囲気がそのまま残っていますね。
手前側は元々準備工事のみが行われたものなので、最初から階段は存在していません。
統計によると、1日の平均乗員は60名程度の小さな駅でした。
元々日本毛織弥富工場があり、そこへの通勤アクセス駅として機能してたようですが、工場廃止と共に大きく利用者が失われ、廃止となってしまったようです。
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