大阪に本社を置くフォントメーカー「モリサワ」は、以前発表していた写研フォントのデジタル化リリースを、2024年秋から段階的に開始すると発表しました!
当初は43フォントから開始し、段階的に100フォントを数年内にリリースしていくとしています。
2024年秋に発売されるフォントには
・「ナール(道路の看板や昔の阪急のフォント)」
・「新聞特太ゴシック体(昔の神戸市営地下鉄のフォント)」
・「ゴナ(阪神高速や長堀鶴見緑地線のフォント)」
などが含まれるようです!!
リリース内容
今回リリースされる43書体の詳細については、以下の通りです。
改刻フォント
石井明朝 L / R / M / B
石井明朝オールドスタイルかな L / R / M / B
石井ゴシック L / R / M / B / EB写研クラシックス
有行書
石井楷書
石井中ゴシック
石井中丸ゴシック
石井中明朝
石井中明朝オールドスタイル大がな
イナクズレ
イナピエロ B
イナミン
イノフリー
いまぎょう
今宋
いまりゅう
織田特太楷書
ゴーシャ E
紅蘭中楷書
ゴカール H
ゴナ E
新聞特太ゴシック
新聞特太明朝
創挙蘭 E
曽蘭太隷書
スーシャ H
スーボ B
鈴江戸
ナール EL / E
ナミン
ボカッシイG
ミンカール出典:モリサワ 1)
リリースは、モリサワ社のサブスクリプションプログラムである「Morisawa Fonts」から行われます。
フォントの利用料は、年間64,240円(税込)だそうです。割とお値段がしますね…。
リリース中に「改刻フォント」と「写研クラシックス」という用語が用いられていますが、2者の違いは以下の通り。
・改刻フォント…現代にあわせて、線の太さや字面の大きさ、文字空間の空きを1文字づつ調整して再度作られている文字。
・写研クラシックス…写研から提供されたアウトラインデータに加えて、不足文字の作成、文字セットなどの仕様の整理を行ったもの。写研の時代は見出しとしての利用に特化していた経緯による
尚、この2つは異なる開発アプローチや仕様を採用しているそうです。
写研って?
写研フォントとは、かつて日本のあらゆる文字に使われた写研株式会社が発売していたフォントのことです。
シェアが高かった1970~2000年頃まで、鉄道のサインシステムはもとより、雑誌や各種商品、テレビのテロップなど、あらゆる箇所に用いられていました。
例を挙げると…
「ナール」…阪急や道路標識、ニュートラムで採用
「ゴナ」…阪神高速や長堀鶴見緑地線、雑誌・商品のパッケージングなどで採用。使用例がかなり多い
「ゴカール」…クレヨンしんちゃんのタイトル文字で採用
しかしながら、写研社が長らくデジタルフォント化を拒否していたことから、PC上では使えないフォントとなっていました。
1970-2000年頃の文化を再現するのに必須な文字であるものの、デジタルでは使えない文字であることから、現代に作られた往時を回顧する作品はどことなく違和感があります。
今回のリリースで、よりクオリティが高い作品が増えそうですね。
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