現在「サンダーバード」で運行されている681系・683系は、2015年からリニューアル工事が行われていますが、驚くべきことに塗装を北陸新幹線のW7系と同じ色にする構想もあったのだそうです。
株式会社ジェイアール西日本テクノスの設計部長が書かれた文献で明らかになっています。
W7系と一体的に
文献によると、以下のように説明があります。
サンダーバードのリニューアルが計画された。北陸新幹線車両のカラーリングとする案も検討されたが、最終的には20年間積み上げてきたサンダーバードのブランドを大切にしようということになった(中略)
20年前の車両をリニューアルする場合、過去を全面否定して、全く異なるデザインにするケースは多い。デザインは流行であり、賞味期限のあるものと思われているからだ。サンダーバードのリニューアルは過去を否定するのではなく、リスペクトして新たなデザインにトライした。
出典:『国際交通安全学会誌』 1)
北陸新幹線のW7系といえば、
・鼻の部分に大きく青色が入り
・差し色に銅色(カッパーカラー)
・そしてボディは真っ白
というデザインですが、681系・683系にもこれが受け継がれていたら…ちょっと見てみたい気もしますね…笑
「サンダーバード」というブランド
サンダーバードで用いられる681・683系は、デビュー当時から白いボディをベースに差し色にグレーが用いられ、JR西日本のコーポレートカラーである青色のラインが巻かれています。
色まで含め「サンダーバード」は25年に渡って運行され続けている「ブランド」である、という考え方が根本にあったことから、結果的にはW7系の色にはならず、現行の塗装となりました。
リニューアルにあたってはあくまで配色のベースはそのままに、よりビビッドな色使いとなったことで
・「サンダーバード」ブランドを損なわず
・かつ新しくなっていることを周知させる
という目的を果たしているようです。
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参考文献
- 『国際交通安全学会誌』(Vol. 43 No.1)、「鉄道車両デザインの未来」,大森正樹(株式会社ジェイアール西日本テクノス 設計部長),平成30年6月