名古屋の地下鉄博物館(レトロでんしゃ館)に行ってきました

名古屋の地下鉄博物館(レトロでんしゃ館)に行ってきました

名古屋には「地下鉄が保管されている博物館」があります。いいなぁ!!!

大阪にはこういった施設がないので、本当羨ましい限りです。

ちょっと遠い場所にあるので後回しにしていたんですが、前々から行ってみたのでようやく足を伸ばしてきました。

 

場所が遠い…

名古屋の地下鉄の博物館は、名古屋市交通局日進工場に併設されています。

そう、鶴舞線の一番最後の駅である、赤池駅が最寄りなんです。

名古屋駅から桜通線に乗り、鶴舞線へ乗り換えて…と、トータルで名古屋駅から40分程度の距離があります

これがなかなか行けなかった理由です。

こちらが併設されている地下鉄の博物館。

正式名称は「レトロでんしゃ館」といい、地下鉄の他に市電が展示されています。

コロナの間は事前予約制だったのですが、ようやく本来の形である一般公開へと戻りました。入場料は無料です。

敷地内にはでっかいシールドマシンがお出迎え。

手前の柵と比較すると、いかに大きいかがおわかりになるかと思います。

 

偉大な先輩とご対面

まずお出迎えしてくれたのは、Nゲージ車両を運転できるスペース。

名古屋市営地下鉄車両はあまりラインナップがないので、職員さんが手作りされた車両が走っていました。

そしてその後ろに…

なんといってもまず見たかったのは、初めて名古屋を走った地下鉄100形です!

正面から。「黄電」の名で親しまれ、東山線のラインカラーを黄色にした張本人です。

有名な話ですが、画家の杉本氏が名古屋市に依頼され、「地下鉄としてふさわしい色は何か」を考えた時にこの色が選ばれたのだそうです。

黄色の他に緑色も候補にあったそうですが、

・地下で見やすい
・地上を走っても景色に溶け込まない

ことを理由に、黄色(ウインザーイエロー)に決めたのだとか。

右側面から。丸っこくて小さい電車ですね。

この100形は、「Safety・Speed・Silence」の「3S」をモットーに開発されました。

【名古屋市営地下鉄 100形 主要諸元】

・サイズ[mm] 長さ15580 x 幅2500 x 高さ3360
・重量 21.6t
・軌間 1,435mm
・集電方式 第三軌条方式/DC600V
・主電動機 40kWx4機
・両数 2両編成
・定員 115名(着座定員46、立席69)
・艤装方式 ボディーマウント式
・加速度 3.0km/h/s
・減速度 3.5-4.0km/h/s
・表定速度 34km/h
・最高速度 76.2km/h

100形は床下が美しいんですよね。

ボディーマウント構造」という、新幹線でも用いられる車体と床下までを一緒に成形して覆い隠す構造がとられています。

これは地下鉄特有の粉塵を排除する為に採られた仕組みで、本来はモーターを防護するための防塵装置が必要になるのですが、これを省略して構造を簡単にできるメリットがあります。

先程書いた「3S」を実現するために当時最新の技術を用いて開発されたのですね。

もっとも、このボディーマウント式はメンテナンス性が非常に悪いこともあり、地下鉄ではこの100形と500形だけの採用に留まりました。

 

車体は「小さい地下鉄」で有名な銀座線よりも更に小さく、現代に至るまでこのサイズに名古屋市交通局が苦心することになります。

この小さいサイズが採用されたのには「無音電車を実現するために軽量化の必要がある為に小型化する」という理由もありますが、他に「大阪・東京と比較して輸送力は小さいだろう」という見立てで設定されたそうです。

このあたりは、名古屋人の堅実さを象徴するかのようですね。

連結面には小さな窓がはめられています。

車内の様子。扉は片扉の3ドアで、間に4枚の窓が挟まっています。

このあたりは名古屋にかつてあった路面電車と同じ配置で、初めての地下鉄ならではの手探り感が伺えますね。

外から窓を見るとこんな感じ。アールがついて丸々した窓枠ですね。

当時はまだ名古屋~栄までの3駅のみだったので、網棚がつけられていませんでした。

当然この時代にエアコンはなく、天井には円形の換気装置が取り付けられていました。

地下鉄車両にエアコンが初めて付けられたのは、大阪市交通局(今の大阪メトロ)御堂筋線の10系車両で、1979年のことでした。

 

運転台の様子。運転席は非常にコンパクトな空間で、ちんまりとした椅子が取り付けられています。

運転機器の様子。オーソドックスなツーハンドル形式で、アナログ計器が取り付けられています。

反対側は108号車が連結されていますが、残念ながら壁ギリギリまで寄せられているのでお顔は見えず…

 

他の展示車両

地下鉄の先輩となる市電車両は3両が展示されています。

1400型は昭和12年に配備された車両です。

こちらは2000型。先程の地下鉄100形と同じ年代である昭和31~33年に製造されました。

この電車では「弾性車輪」という、車輪にゴムを用いて静かに走行する仕組みが採用され、結果が良好だったのか地下鉄100形へも採用されました。

顔つきは全く異なりますが、技術的観点からは100形の師匠ともいえるべき存在ですね。

こちらは3000型。一見2000型の後輩に見えますが、昭和19年製造とこちらの方が先に竣工しています。

戦時設計車ということもあり、いかに大量に軍需通勤輸送が行えるかを主眼としたことから連接車両として竣工。大きく活躍した電車なのだそうです。

プレートの説明にも同様の話が記載されています。

連接車両ならではの連結部分のターンテーブルがありますね。

床や化粧板などは全て木材で作られています。

名古屋には、かつてモノレールも存在しました。

現在でも珍しい懸垂式のこのモノレールは、東山公園の園内輸送用に1964年登場。

現在も実車が東山動物園内に保存されているそうです(知らなかった…)

 

その他

5000系が最新系列だった時代のパネル?が展示されていました。エモい……

 

ちなみに

冒頭で「地下鉄の日進工場が併設されている」と書きましたが、ご覧のように鶴舞線の車輌がずらりと並んでいます。

ただ、高架線があるので撮影できる絵は今ひとつ。出庫する車両をなんとか…という具合です。

 

これだけの展示物があって入場無料はアツいですね…!

ちょっと遠いのがネックですが、皆さんも是非行ってみてくださいね。

 

施設について

施設名:「レトロでんしゃ館」
開館日:2000年6月1日
場所:〒470-0124 愛知県日進市浅田町笹原30
開館時間:10~16時
入場料:無料
休館日:毎週水曜日・年末年始

 

関連リンク

瀬戸電と駅がまるごと!「瀬戸蔵ミュージアム」に行ってきました

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【もじ鉄】名古屋市営地下鉄の旧字体駅名標がある駅は?

参考文献

  1. 名古屋市交通局「名古屋市高速度鉄道建設史」
  2. 日立製作所「日立評論」『車輌の照明』、1957年、佐々木清、仲間博、立川昭二、山崎佐喜之
  3. 日立製作所「日立評論」『名古屋地下鉄電動車』、1957年11月

 

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