近鉄の「グッドデザイン賞」受賞一覧まとめ

近鉄の「グッドデザイン賞」受賞一覧まとめ

先日南海電鉄の8300系がグッドデザイン賞を受賞したことを記念して南海電鉄の受賞一覧ページを作成しました。ね。

これが意外と好評なので、続いて近鉄が獲得してきたグッドデザイン賞をプロダクトについてもデータベースとして残すことにしました。

 

80000系「ひのとり」(2020)

現在直近でグッドデザイン賞を受賞したプロダクトは、近鉄のエースとなった「80000系・ひのとり」です。

2020年に鳴り物入りで登場し、鉄道趣味者からの栄誉であるブルーリボン賞と共にダブル受賞を果たしています。

近鉄特急は、都市間特急の新しいスタンダードを再定義したと言えよう。都市間特急において乗客の多くは「寝る」。リクライニング座席を倒すと、その後ろの乗客が不快に思うことが多かった。逆に気を使って、十分にリクライニングを倒すことができない乗客も多かった。そんなきめ細かいニーズ分析から生まれたバックシェル座席が、全座席に展開されている。そのぶん定員が減ったが、これは経営側も相当に覚悟しただろう。近鉄は車両を30年以上、末永く大事に使い続ける会社だ。長く飽きられない普遍的なデザインと空間、経営が一体になって、未来に向かって覚悟を決めたフラッグシップを高く評価したい。

出典:グッドデザイン賞「近鉄80000系「ひのとり」

共同受賞者:近畿車輛、株式会社GKインダストリアルデザイン

ディレクター:近畿日本鉄道株式会社 企画統括部 技術管理部+GKインダストリアルデザイン 朝倉重徳
デザイナー:GKインダストリアルデザイン 朝倉重徳、若尾講介、根岸岳、辻本慧

 

ホテル志摩観光ホテル ベイスイート(2009)

続いて、伊勢志摩にて展開するホテルも受賞。

景勝地に建つ観光施設には直接の利用者のみならず、景観を享受するエリア利用者全体への配慮が強く求められる。このリゾートホテルは、可能な限り高さを抑えて躯体がラウンドする計画としたことに、歴史あるホテルの見識がうかがわれる。複雑に入り組んだ島々と海面が織り成す湾の風景を楽しむのに高い位置からの眺望がベストとは限らない。低層でありながら眺めの良い建物は可能なはずで、ビューバスはリゾートならではの楽しみをもたらすことだろう。

出典:グッドデザイン賞「志摩観光ホテル ベイスイート

共同受賞者:大林組

 

名阪特急「アーバンライナー・ネクスト」(2003)

アーバンライナーから続く新世代の名阪甲特急としては2代目である「アーバンライナーnext(21020系)」も受賞。

どこか抜けた顔立ちは「ファニーフェイス」としてデザインされたものですが、この点については評価が分かれるというコメントが残されています。

ローコスト時代にあって、全体的に高度なまとまりとなっている。特に、乗客の居住空間に対するシート構成をはじめとする様々な機能の設定は、快適性を提供するものとして評価できる。また、Rドアーの多目的トイレは、新しい試みとして高く評価された。外観デザインについては、基本的にはスタンダード路線を志向しているということだが、フロントフェイスのデザインは評価の分かれるものとなった。

出典:グッドデザイン賞「近鉄 名阪特急「アーバンライナー・ネクスト」

共同受賞者:近畿車輛
受賞デザイナー:近畿車輛株式会社 車両事業本部 技術総括部

 

シリーズ21(2000)

3220系・5820系・9020系の3系列が「シリーズ21」としてまとめて受賞。

 

「21世紀にふさわしい」通勤車両を現実のものとするため、デザイン検討を進めた。外観デザインは、通勤車両に要求される軽快さと日常の足として沿線風景に溶け込む飽きのこない普遍性をあわせもたせるため、シンプルな曲面形状と大型曲面ガラスの採用によりシンプルでシャープな印象とし、塗色もブラウンとホワイトのツートンにイエローのラインが入ったものに一新した。車内は「人にやさしい」客室とするため、あらゆる設備について新しい存在感を与えるため使い勝手を吟味し、素材、形状、寸法について一から再検討を実施した。なお、「らくらくコーナー」は高齢化社会への提言の一つである。

出典:グッドデザイン賞「近鉄通勤車両「シリーズ21」(3220,5820,9020系)

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:山内 陸平(京都工芸繊維大学名誉教授)、近畿日本鉄道株式会社技術室車両部、近畿車輛株式会社デザイン室

 

 

デュアルシート YM051(1996)

近鉄5800系(L/Cカー)に採用された座席(天龍工業株式会社製)が受賞しています。近畿日本鉄道の法人としてはこのプロダクトが初めての受賞となりました。

以後ご紹介するのも近鉄の電車ではありますが、受賞対象は製造を担当した近畿車輛となっています。

詳細リンク

 

22000系「ACE」(1992)

「乙特急」と称される、停車駅が多いタイプの汎用特急用として製造された22000系「ACE」も受賞しています。

尚後輩である22600系「Ace」については受賞しておらず、この列車のデザインがいかに評価されたかがわかりますね。

<詳細リンク>

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:手銭 正道(元東海大学名誉教授、故人)、山内 陸平(京都工芸繊維大学名誉教授)、近畿日本鉄道株式会社車両部、近畿車輛株式会社デザイン室

 

さくらライナー26000系(1990)

南大阪線特急のスターである「さくらライナー」も1990年に受賞しています。

根本的なデザインはアーバンライナーのフォロワーですが、先頭の傾斜角が緩やかになったり種別灯が丸くなったりとどこか優しい雰囲気となっています。

当時はまだ沿線の緑をモチーフとしたカラーで5色の緑のグラデーションとなっており、現在のようなピンク色ではありませんでした。

<詳細リンク>

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:手銭 正道(元東海大学名誉教授、故人)、山内 陸平(京都工芸繊維大学名誉教授)、近鉄車両部、近畿車輛デザイン室

 

アーバンライナー21000系(1988年)

「ひのとり」「アーバンライナーnext」の系譜を作り上げた、名阪甲特急の立役者。

美学のある名列車」として、以前当サイトの記事でも取り上げましたね。

近鉄特急の伝統であった「2階建て車両」「オレンジ色に紺ライン」をバッサリと捨て、

・平屋車両
・真っ白なボディ
・スマートなオレンジのライン

を引っさげて登場したアーバンライナーは、近鉄特急の新しい美学が詰まった、革命的存在でした。

こうした文章を打っているだけで身震いがしてきます…

<詳細リンク>

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:手銭 正道(元東海大学名誉教授、故人)、山内 陸平(京都工芸繊維大学名誉教授)、近畿日本鉄道株式会社車両部、近畿車輛株式会社デザイン室

 

5200系VX(1988年)

アーバンライナーと同時期に、実はもう1つ受賞しているのが5200系「VX」。

クロスシートと大きな窓を備えたこの電車は、後のJR西日本221系にも影響を与えました。

<詳細リンク>

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:近畿日本鉄道株式会社技術室車両部、近畿車輛株式会社デザイン室

 

7000系(1986年)

実は近鉄で…いや、日本の鉄道でグッドデザイン賞受賞の第一号となったのが東大阪線7000系です。(受賞は近畿車輛)

従来の近鉄らしからぬ鮮やかなオレンジとアイボリーの車体は、当時としては極めて斬新なデザインだったことでしょう。

それは「醜悪なデザインの多かった鉄道車両の中、7000系のような誇らしい車体も出てきた」と当時の大学教授が文献に残すほどのインパクトだったようです。

グッドデザインマークを授与された近鉄7000系の車両のように(筆者はその時の審査委員の一人であった。)外装に透明な明るい色を持った車両が多くなった(中略)

これまでの鉄道車両の多くは、わずかな例を除いて、産業の衰退を表現するかのように、見る人の心を暗くするようなくすんだ寒色系で、仕上がりの感心しない塗装をされるのが殆んどであった。
観の造形にしても、同じ車両の仲間である日本の自動車のデザインが、パリの街中で、思わず振り返った素晴らしいデザインの車が日本車であったりするほど、世界の一流レベルにあるのに、鉄道車両ときたら、わずかな例外を除くと、わざと醜くデザインされたのかと皮肉の一つも言いたくなるほどであった。

出典:運転協会誌 29(11)(341)「運転協会誌 29」(11)(341)、『明日に向かって立ち上がる車両技術』、井口雅一、1987年11月

秀逸なデザインだったからなのか、2004年のけいはんな線延伸時に4本投入された後継の7020系もまさかの同じデザインで登場するほどでした。

<詳細リンク>

受賞企業:近畿車輛
受賞デザイナー:近畿日本鉄道株式会社車両部、近畿車輛株式会社デザイン室

 

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