現在、関西大手企業20社が中心となって出資を行い、2029年における大阪IRの開業を目指しています。
既に公募や府議会でIR法案が通った後ではありますが、ギャンブルということで反対の意見も根強く見られます。
IRとは(Integrated Resort)
統合型リゾートのことで、国際会議場やホテル、エンターテイメント施設、カジノが一体になった複合型施設です。開業すれば年間1,000億円の収入など大きな経済効果が見込まれ、それにあわせた鉄道の延伸や老朽化しているインテックス大阪の移転構想もあります。
公募による事業者選定や大阪府議会も通過していますが、ギャンブルにまつわるカジノの部分が疑問視されており、反対する20万人による住民投票実施の署名を集めるなど関心が高まっています。
但し、カジノがないとIR全体の収益構造としては機能せず、「では代替はどうするか」の話にまで踏み込んでいないのが現状です。
そんなIRではありますが、うちは鉄道サイトということで今回は鉄道面だけにフォーカスして、IRが開業すると鉄道網がどう変わるのか?を見ていきます。
京阪電車
中之島駅から九条駅まで、2kmの延伸を計画中です。
九条で大阪メトロ中央線と接続、そこから更に北西へ1km強の延伸を図り、大阪環状線との接続も検討しているのだとか。
正式なプレスリリースはありませんが、2018年当時の加藤好文社長が日刊工業新聞社のインタビューに応え、延伸に意欲を見せています。
但し「IRの誘致が絶対条件」とも答えており、IRが出来なければ延伸の見通しはなさそうです。
JR西日本
JR西日本も、現在桜島駅までのゆめ咲線を延伸する構想を持っています。
2018年4月に発表された「中期経営計画」では、ざっくりとではありますが桜島~夢洲間の延伸が示されています。
近畿日本鉄道
近鉄では、万博用に第三軌条線と架線の直通車両を開発中。
奈良線とけいはんな線を直通させ、夢洲方面までの直通特急列車の運行を計画しています。
元々「IRが出来たら」という表現になっていましたが、2021年に関連会社である近畿車輛など5社と共に特許を取得し、プレスリリースも発信しています。
例外:大阪メトロ
大阪メトロの夢洲への延伸は、そもそも万博が目的であってIRの為とはいえません。
もちろんかつて「夢洲タワー構想」をぶち上げたぐらいですから将来的な段取りとして見込んではいると思いますが、今回は記事の趣旨と若干異なるために外しました。
出資企業は?
ところで、冒頭に書いた「大阪IRに出資している企業」とはどこを指すのでしょうか。
このあたりについて詳しく調べられているStella Rail Sideさんによると、大阪IR株式会社に出資している鉄道企業は
・近鉄グループホールディングス
・京阪ホールディングス
・南海電気鉄道
・JR西日本
の4社とのことです。
さいごに
今の大阪は、IRが出来るかどうかで大きく揺れています。
個人的には上記の鉄道の延伸が楽しみではあるものの、一方でギャンブル施設が出来る不安もあります。
なので「ギャンブルは全て反対。パチンコ・カジノどちらもダメ」という人や「一定のリスクを取ってでも大阪府民に利益があるならカジノも許容すべき」というどちらの意見にも納得するところです。
IRが通り鉄道が延伸されるのか、それともギャンブル反対の意見が通ってそのままなのか。咲洲地区への鉄道網はどうなるのでしょうか
関連リンク
参考文献
JR西日本「JR西日本グループ中期経営計画2022」
大阪府「大阪IR広報紙」