なぜ山形新幹線「つばさ」は色を変えてしまったのか

なぜ山形新幹線「つばさ」は色を変えてしまったのか

今年2月より、再び銀色を纏ってリバイバル運転を行っている山形新幹線「つばさ」のE3系。

元々山形新幹線「つばさ」は、初代400系・2代目E3系共にスマートなシルバーカラーの新幹線として有名でした。

特に、初代400系は初めてのミニ新幹線と鉄道史にも何かと出てくるイメージリーダーな車両なだけに、「山形新幹線=銀色」というイメージを持たれている方も少なくないと思います。

そんな山形新幹線ですが、2016年から急に色が変わってしまい、2024年に登場予定の新型車両「E8系」もこのカラーになっています。

唐突な塗装変更の背景には、山形県の吉村美栄子知事が要請したからという噂があったので、少し調べてみました。

 

議事録を見てみる

山形県議会の議事録を見てみましょう。

吉村美栄子知事 実は、青森新幹線が開通したとき、三時間で青森に着くということで、その時間でかなりショッキングな印象を受けたわけであります。そして、秋田新幹線のときにあのボディーラインとあの色ですね、本当に物すごいインパクトがありまして、しかも奥山清行さんのデザインだということで、山形県出身の世界的な工業デザイナーの方のデザインによるものということがわかったときに、私はJR東日本に、山形新幹線はというふうに、どうなるんですかみたいに、そのようなことを申し上げたわけです。そして、北陸新幹線も開通間近ということを考えましたときに、山形新幹線が埋没してしまうのではないかというような、大変なその懸念があったわけであります。

私としましても、JR東日本に対して、何とかしてほしいというようなことを何度も申し上げてきたわけでありますけれども、本当にこのたびのことは、昨日発表された内容でありますけれども、デザインは本県の奥山清行氏によるものでありますし、また、その色も、奥山氏がもう並々ならぬふるさとへの愛情というものを持っていらして、オシドリの色の紫ですとか、それから紅花の色を黄色、オレンジ、赤というふうにグラデーションにしているんですね。あれは本当に塗装屋泣かせだったと聞いております。非常に難しい。これはもうちょっと無理でないかというようなことだったんだけれども何とか頑張りましたというお話をお聞きしました。

出典:山形県議会「平成26年2月 予算特別委員会(第366号) 03月05日-01号」

 

つまり、この当時の時代背景として

・2011年、東北新幹線にE5系が登場した
・2013年、秋田新幹線にもE6系が登場した
・北陸新幹線の金沢開業が間近に迫っていた

ことで、山形新幹線の話題が影に追いやられてしまう危機感を持った。

そこで知事が、話題性を出すためにカラー変更すること何度も何度もJR東日本へ陳情した結果…という記録が残っており、少なくともこの噂にはちゃんとソースがあることがわかりました。

 

E8系も銀色なら…

特に同じミニ新幹線の「E6系」は色鮮やかで真っ赤な車体のインパクトが大きく、鉄道玩具でもよく製品化される新幹線車両です。

とはいえ、一時の話題性を出すために塗装変更までさせるというのは少しやり過ぎ感が否めないですね。

 

画像:JR東日本

400系以来20年間伝統を守り、山形新幹線のイメージとして形成されかけていた「銀色の新幹線」。

まもなく登場する3代目「山形新幹線」のE8系も、シルバーならもっとカッコよかったんじゃないのかなぁと個人的には思ってしまいます。

 

関連リンク

山形新幹線の「E8系」とは?いつからデビュー?E6系との違いは

「こまちを保存できないか?」秋田県民に愛されたE3系の話

シルバーの「山形新幹線つばさ」、明日より復活

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参考文献

山形県議会議事録

JR東日本『山形新幹線をより便利に快適にします』

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