JR各社は、法人名としては正式名称がそれぞれ決まっています。
例えばJR西日本は「西日本旅客鉄道株式会社」、JR東海は「東海旅客鉄道株式会社」、JR貨物は「日本貨物鉄道株式会社」となっています。
ところが、子会社や関連会社などでたまにカタカナ表記の「ジェイアール」を称しているケースがあります。
例えば山形新幹線のリース事業を行っていた第三セクターは「山形ジェイアール直行特急保有株式会社」で、400系新幹線車両の妻面にもそのような記載があります。
この他、全国各地に同様の「(カタカナ)ジェイアール」会社があります。
・山形ジェイアール直行特急保有株式会社(山形新幹線の第三セクター)
・ジェイアール西日本デイリーサービスネット(流通)
・ジェイアール西日本伊勢丹(JR京都伊勢丹、ルクア大阪の運営)
・西日本ジェイアールバス株式会社(バス)
・ジェイアール東海パッセンジャーズ(新幹線のパーサー業務)
・株式会社 ジェイアール東海高島屋(名古屋駅の高島屋運営)
・ジェイ・アール北海道バス
「JR」でなく、カタカナ表記の「ジェイアール」となっているのは何故でしょうか。
会社法
これは、会社法という法律で「商号にアルファベットは使えない」と定められていたことが理由です。
認められるようになったのは2002年(平成14年)11月1日からで、それまでは必ず「漢字・カタカナ・ひらがな」のどれかで表記することと定められていて、アラビア数字も使えませんでした。
先に挙げた「ジェイアール東海パッセンジャーズ」は、社名変更が2002年10月1日なのでギリギリこの規定変更の恩恵を受けられず、カタカナ表記になっています。
その他の例
今回取り上げた<ジェイアール>以外にも、こうした理由でのカタカナ表記は多数ありました。
例えばラジオ局のFM802は、「株式会社エフエムはちまるに」という屋号をかつて使用していました。
漢数字の「〇」は、漢字とは認められず使用できないので「八〇二」とも表記できなかったのが理由です。
携帯電話のauを展開するKDDIは、元々「ケイディーディーアイ株式会社」としていましたが、商法改正により「KDDI株式会社」へ改名しています。
また、株式会社WOWOWは「株式会社ワウワウ」という名前でした。読みづらい……
このようにかつてはカタカナ表記だった企業も、商法の改正によって改名するところが多く見られます。
しかし、ジェイアール関係については改名しなくとも特に不便を来さない(むしろ各方面への書類を申請・更新しなければならない煩雑さによる交通事業者特有の事情?)からか、現在でもそのままの「ジェイアール」表記になっているケースが多く見られます。
関連リンク
参考文献