広島電鉄は、電車運賃の改定(値上げ)について国土交通大臣からの認可を受けたと発表しました。
新運賃は11月1日から適用され、本線は190円から220円へと改定されることになります。
これにあわせて値上げ分による設備投資計画の内訳を公開しているのですが、この中で5000形グリーンムーバーの廃車とも取れる文章が記述されています。
イ.超低床車両の導入
・目的 車令 50 年以上の車両が 32 両・編成あり、数年後には現在経年 30 年以上の電子制御車両や、経年 20 年以上の超低床車両の代替時期となることから、計画的に車両を代替(2025 年度までに 5 編成)します。
・効果 バリアフリー化の向上に加え、車両更新による修繕費抑制、車両故障の低減など輸送の安全に資するものになります。
・金額 2,480 百万円出典:広島電鉄 1)
超低床車のパイオニア
車齢20年以上の超低床車両といえば、5000形グリーンムーバーでしょうか。
5000形はドイツ・デュワグ社(現シーメンス)製のコンビーノと呼ばれる車両で、1999年~2002年にかけて導入された広電初の超低床車両です。
「車齢20年以上の超低床車両」には、後輩の5100形(2004年製造~)もいますが、5000形は全12編成中7編成が不具合や部品取りによる長期離脱を余儀なくされているなど、不具合も目立ってきていることからこちらが対象であるものとみられます。
5000形は日本における超低床車両のパイオニアともいえる存在で、当時まだ日本では製造されていなかったことから、わざわざドイツから輸入した経緯があります。
01編成は補助金制度のリミットやアピールも兼ねて飛行機(アントノフ124)で運ばれ、1999年3月13日の午前9時15分、広島空港へやってきました。
その様子は「空を飛ぶ路面電車」と専門誌 (参考文献欄3)参照)にて紹介されました。
これは平成10年度の鉄道軌道近代化設備整備費補助を受けるため、1999年3月20日までに納入する必要があったことによります。
それ以外にも
この他、「車令50年以上の車両32編成、経年30年以上の電子制御車両」についても言及が見られ、同時期に廃車・代替されていくものとみられます。
余談ですが「グリーンムーバー」という名前は、広島電鉄の企業カラーと街の移動装置という意味合いから名付けられたそうです。
関連リンク
参考文献
- 広島電鉄「広島市地域公共交通利便増進実施計画の認定申請による電車運賃の認可及び運賃改定の実施について」、2022年10月18日
- 堀切邦生さんのツイート
- 日本鉄道運転協会「運転協会誌. イベント列車特集41(6)(480)」『空を飛ぶ路面電車』池田智広(広島電鉄所属)、1999年6月