色々な鉄道の噂を研究する「電車の雑学研究所」シリーズ。ここでは鉄道にまつわる様々な雑学・噂・都市伝説を検証して、皆さんに楽しんで頂くカテゴリーです。
連載は終了しましたが、今回は特別談として「広島に地下鉄がない」と出題して炎上したことがある?」をご紹介します。
「中国地方に地下鉄はない」
2019年2月1日。関西の私立大学で上位に入る「関関同立」と呼ばれる1つである関西大学の入試問題にて、こんな問題が出題されました。
「北海道、東北、中・四国、九州の各地方中枢都市には、すべて地下鉄路線がみられる」
北海道(札幌市営地下鉄)、東北(仙台市営地下鉄)、九州(福岡市地下鉄)にはれっきとした地下鉄があるものの、中・四国最大の都市である広島には地下鉄がないことから答えは✕……という趣旨の問題でした。
ここで違和感を持ったあなた、流石です。
そう
広島のアストラムラインは地下鉄では?
というツッコミが各所からなされたのです。
定義は結構曖昧
アストラムラインは広島市北部を走るAGT路線で、一見地下鉄には見えずどちらかというとニュートラムやポートライナーのような「新交通システム」にあたります。
しかし、市内中心部の本通~県庁前間では地下を走行していますし、日本の地下鉄の団体である「日本地下鉄協会」にも名を連ねています。
またここの一部区間(県庁前~地上部への1.6km)の建設には、当時の運輸省からの地下鉄建設に関する補助金(地下高速鉄道整備事業費補助)」を適用することになり、法的根拠も軌道法となっています。
大阪市営地下鉄を建設する際に「道路下に敷設するのだから(運輸省管轄の)軌道法を適用する」と「鉄道は全て(建設省管轄の)鉄道法」という解釈の違いから運輸省と建設省で過去に対立があり、結局前者が適用された経緯があります。
この解決時に「大阪のケースは今後の前例としない」という取り決めを行ったので、以後の地下鉄は全てが鉄道(営業)法で建設されています。
というか、そもそも「地下鉄」に明確な定義があるわけではないので、この問題を出すこと自体が不適切であったといえます。
この影響で関西大学は、当該部分を全員正解にし、1人を補欠合格させるという事態になりました。
とはいえ下手に隠蔽せず、きちんと誤りを認めて是正措置を行っているのは評価できますね。
関連リンク
参考文献
ライブドアニュース「広島に地下鉄がないことを前提にした出題ミス 真の問題点は」
朝日新聞「広島に地下鉄はない? 関西大学入試で出題ミス」
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