日本一短い鉄道事業者は和歌山にあった?【コラム】

日本一短い鉄道事業者は和歌山にあった?【コラム】

皆さん、(ケーブルカー等を除いた)日本一短い鉄道事業者ってどこだと思いますか?

有名なのは千葉県の芝山鉄道ですよね。東成田~芝山千代田間の僅か2.2kmしかありません。その前は紀州鉄道の御坊~西御坊間の2.7kmでした。

 

しかし、それよりも更に短い鉄道事業者がありました。その名は…

 

「和歌山県」です

 

 

県?

は?と思われた方も少なくないでしょう。

 

それもそのはずで、該当する区間は久保町(廃駅)~和歌山港間の1.5km

和歌山港といえば南海電鉄ですが、まさにその南海電鉄の該当区間が和歌山県なのです。

 

順位会社名区間・距離
1和歌山県(和歌山)県社分界点(旧久保町)~和歌山港:2.0km
2芝山鉄道(千葉)東成田~芝山千代田:2.2km
(車両持ちの普通鉄道としては日本一)
3紀州鉄道(和歌山)御坊~西御坊:2.7km
(自己完結路線としては日本一)

 

というのも、久保町~和歌山港間は和歌山県が第三種鉄道事業者、南海電鉄が第二種鉄道事業者で、いわば和歌山県が南海に線路を貸しているという構図になります。

このことから、「和歌山県が(普通)鉄道として一番短い事業者」ということになるのです。

ちなみにケーブルカーなど全ての鉄道事業者を含んだ場合、最も短いのは京都の鞍馬山鋼索鉄道です。その距離は207mとなります。

 

 

ちなみに和歌山港駅は、鉄道事業者「和歌山県」が保有する唯一の駅。

しかし駅名標からサイン、改札機から壁に至るまで全てが南海式であり、一見しただけでは和歌山県が保有する駅には見えなくなっています。

 

尚、かつては水軒(すいけん)というところまで路線が伸びていましたが、「踏切で主要道を塞いで邪魔」という声から廃止された経緯があります。

水軒駅跡は現在ドッグランや広場になっているなど、今ひとつ有効活用できているとは言い難い状態です。

 

 

県社分界点に行ってみる

ちなみに、境界となっていた久保町駅は既に廃駅となり、駅舎が存在しません。

しかしながら境界としての機能は現在も生きており、和歌山「」と南海電気鉄道株式会「」の分かれ目ということで、「県社分界点」という珍しい呼ばれ方をしています。

久保町駅を廃止にした理由として、南海電鉄は「1日100人以下の利用者しかいないこと、並行するバスの存在があること」を理由に挙げています。1)

 

ということで、県社分界点がある現地を見に行ってきました。

 

現地の様子。久保町駅は既に解体済みで、わずかにそのスペースだったらしき部分が残るだけとなっています。

県社分界点は多分何かしらの形であると思ったので探してみたのですが……特に目立った何かはありません。

土地の境界を決めるものなので必ずあるはずなのですが、それっぽいのはこの「N」と書かれた柱ぐらいしか見当たりませんでした。

 

まとめ

今回ご紹介した和歌山港線は全ての電車が接続するフェリーの時間にあわせていることから、発着する列車数はかなり少なめです。

訪れる際には直前で本数の少なさに愕然としないよう、ある程度ダイヤを調べてから行ってみてくだいね。

 

関連リンク

鉄道事業者、「福島県」が誕生。

【南海】4つの「めでたい電車」が大阪にやってきた!100人近くが集まる

 

参考文献

1)  南海電鉄「和歌山港線中間3駅(久保町・築地橋・築港町)の廃止日決定について」、平成17年5月13日

 

 

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