京成電鉄株式会社は、2023年度(経済用語では2024年3月期といいます)の決算を公式サイト内にて発表しています。
それによると、今期の売上高は2965億900万円、純利益(黒字)額は876億5700万円となり、2年連続の過去最高、および4期連続の増収となりました。
この好調を受け、今期の1株あたり配当が20円から36円へと大幅にアップしています。
やはりインバウンド
南海電鉄と同様に、この好調ぶりの背景にはインバウンド効果があります
やはり成田空港への輸送を担当する「スカイライナー」が好調で、1日平均の輸送人員が2022年度比で2.3倍の17,500人、輸送収入は2倍の69億円となりました。
業種 | 売上高 | 営業利益 |
---|---|---|
運輸業(京成電鉄、バス) | 1803億円 | 119億円 |
流通業 | 562億円 | 4億円 |
不動産業 | 335億円 | 100億円 |
レジャー・サービス業 | 170億円 | 7億円 |
建設業 | 314億円 | 18億円 |
京成電鉄は、運輸業の比重がかなり高め(42%)になっていますね。
昨今は多角事業化に舵を切る鉄道企業が多いですが、ちょっと意外な印象です。
また、新京成電鉄の子会社化の影響で、売上高が100億円、利益が11億円それぞれ上乗せされています。
投資ファンドからOLC売却の要請
ところで、現在京成電鉄は第5位の株主であるイギリスの投資ファンド「パリサーキャピタル」社から、京成が保有しているオリエンタルランド(ディズニーランドの運営企業)の持ち株比率を、現行の19%から15%未満に売却して減らすよう求められています。
売却した分の利益を、投資と株主還元に充てろ…という要求が背景にあります。
この期待感が市場でもあり、京成電鉄の株価は2,000円台程度で推移していたのが、24年5月1日現在5,800円と倍増しています。
京成もこの対応に苦慮しているようで、新京成電鉄や関東鉄道をM&Aしたのはこれが背景にあるものとみられます。
関連リンク
参考文献
kabutan「京成、今期経常は13%増で2期連続最高益更新へ」
日本経済新聞「京成、脱「鉄道偏重」に難路 OLC株巡り株主の圧力」