鉄道と虫は流石に縁がないし遠い存在…と、この記事を書くまでは思っていました。
しかし驚くことに、「鉄道虫」と呼ばれる虫が実際にいるそうです。詳しく調べてみました。
当ページでは、虫嫌いの方の為に虫自体の画像を掲載していません。
その正体は…
鉄道虫とは、ブラジルにいる蛍に近い「ホノオムシ科」、もしくは「フェンゴデス科」(Phrixothrix hirtus)の虫のメスなのだそう。
英語では「Railroad Warm(リンク先注意)」という名前がつけられていて、実際に英語版Wikipediaでもそのページが確認できます。
当ページでは虫嫌いの方の為に画像を貼り付けていませんが、こちらのリンクにこの虫の画像へのリンクを掲載しておきます。虫嫌いな方はご注意下さい。
また、ナショナル・ジオグラフィックには動く様子を捉えた動画もあります。
この虫は2色の光を放つのが特徴で、身体は黄緑色に、頭は赤色に光ります。
この様子が、暗闇で鉄道を見たときの窓から光る黄緑色のライトと、赤いテールライトのようであることから「鉄道虫」という名前がつけられたようです。
英語でwarmはイモムシを指すことから、厳密には「鉄道芋虫」の方が近いのかもしれません。
ちなみに何故光るかというと、
・黄緑色は捕食する際の警告のためや、寄ってくるオスへのアピールのため
・赤色は他の虫が察知できない色であることから、相手に見つかることなく餌を探せるため
…と考えられているそうです。
このマイナーな虫、アメリカ大陸(ブラジル)だけの存在のようで、日本には残念ながら居ないようです。
記事を書くにあたって(虫は専門外ということもあり)全国の昆虫博物館に問い合わせしたのですが、保有している館は一つもなく、プロである担当の学芸員さんも「初めて聞いた」という反応ばかりでした。
鉄道と虫といえば…
冒頭で「虫と鉄道は縁がないし遠い存在」と書きましたが、あくまでこれは文化的・趣味的な話。
実生活において鉄道へ影響する虫に、「キシャヤスデ」というものがあります。
これは山間部の鉄道にて大量発生するヤスデのことで、線路を這うキシャヤスデが電車・汽車に轢かれて車輪を空転(スリップ)させ、動けなくさせる影響があります。
これまで小海線や指宿枕崎線(2010年)など特定エリアにおいて8年周期で発生し、たびたび列車を空転させ遅れをもたらしています。
関連リンク
参考文献
- レファレンス協同データベース「鉄道虫について、発光の仕組みや生態がわかる図鑑などはないか。」
- 「光る生き物 : DVD付」、大場裕一監修(学研の図鑑 LITE)学研プラス、2015
- 平野誉「脳科学ライフサポート研究センターセミナー ホタルの光の化学:基礎と応用の最前線」、2018年5月18日
- ナショナル・ジオグラフィック「【動画】光る生きもの、鉄道虫からカラスザメまで」
- 朝日新聞「ヤスデでスリップ、列車とまる JR指宿枕崎線・鹿児島」