山形新幹線つばさは「つや姫」へ改名する気だった?

山形新幹線つばさは「つや姫」へ改名する気だった?

山形新幹線「つばさ」のE3系が、懐かしいシルバー塗装になったことは以前お伝えしましたね。

この関係でつばさの注目が高まっているのですが、驚くべきことに「つばさ」を「つや姫」へ改名しようとしていたことをご存知でしょうか。

詳しく調べてみました。

 

文献をたどる

時は平成25年(2013年)。JR東日本へ送付した山形県知事の要望書によると、以下の内容が示されていました。

山形新幹線の魅力向上

① 山形新幹線の臨時列車の名称に、本県ならではの名称である「つや姫」を使用していただきたい。

② 平成26年度のデスティネーション・キャンペーンや平成25年度のプレキャンペーンなどの機会を捉え、車両塗装を未来志向でデザイン性の高いカラフルなものに変更したり、ロゴマークやラッピング等の車両内外への装飾を施すなど、原稿車両の魅力アップやアピール性の向上により、首都圏での注目を集めること。

③ 「つばさ」の車両更新を可能な限り早期に決定・実施し、秋田新幹線「スーパーこまち」と同様に高速運転が可能で、首都圏でも話題となる斬新なデザインの車両を導入すること

出典:「要望書」平成25年4月、山形県知事 吉村美栄子

ご覧のように、はっきりと「つや姫にしてくれ」と記載がありますね。

 

この時点で要望されていた②と③は、E3系のカラー変更やE8系の投入によって、結果的に実現することになりました。

しかしながら、肝心の「つや姫」への変更だけは実現していません。

このあたりの経緯については、髙橋淳議員の質問によって間接的に回答されています。

高橋委員 山形新幹線「つばさ」の名称を「つや姫」に変更できないのか。

交通政策委員長 JR東日本からは、「つばさ」が公募により決定したこと、県民に広く定着していること、駅設備等の改修経費がかかること等から簡単には変更できないと聞いている

出典:平成25年9月定例会 山形県総務常任委員会

 

 

山形県民の反対

…と、知事や議員からの要望があったわけですが、山形県民からはかなり多くの反発する声が挙がりました。

・ 新幹線つばさの名称変更を考えておられるようですが、慎重にお願いします。昔の特急時代から「つばさ」は伝統ある名称です。名前は大切なもので、簡単に変更すべきではないと考えます。(2013-10-07)

・ 秋田新幹線「こまち」になぞらえて「つや姫」もとの思惑だと思いますが、「米」を鉄道にこじつけず、もっと他の方法で米の流通販売戦略を考えるべきです。
山形新幹線「つばさ」は、新在直通特急列車としての伝統があります。その伝統を軽々しく変えてしまうことには反対です。
震災後、すぐに東北と関東を繋ぐ運行を再開した山形新幹線「つばさ」の知名度や信頼度、長い歴史と伝統で、観光客は来るのではないでしょうか。むしろ、その車内で「つや姫」の知名度を上げることに労(特別安価提供やつや姫弁当開発等)を惜しみなく発揮すれば良いのではないでしょうか。(2013-10-07)

・ 新幹線の名称変更をする必要はないと考えます。「山形新幹線=つばさ」というのが定着しているのではないでしょうか。小さな子供向けの本にもつばさ号として記載されています。つばさ号を新たにつや姫号に変えると、約20年使ってきた案内表示をすべて変える必要があり、JRが言っているように設備改修に費用がかさみます。
名称を変更するよりは、車内、駅でのつや姫の宣伝活動を強化すべきだと考えます。つや姫号にするのであれば、県などが企画したツアーで使用する団体列車に限定することでいいと思います。(2013-10-07)

・ 某ニュースサイトを見て、残念に思いました。県議会で話が挙がったそうですが、在来線時代からの名門特急列車名である「つばさ」を、PR目的で「つや姫」に改称する必要はないと思います。(2013-10-07)

山形県民としても「つばさ」への愛着が強かったようですね。

この声を受けてか、その後「つや姫」にするという請願・要望は上がらなくなっています。

まぁ流石に山形県民からここまで反対が上がるなら、県としてもやる意義はないですよね。

 

 

「こまち」の由来はお米じゃない

そもそも同じミニ新幹線である「こまち」の由来は、米のブランド名(あきたこまち)ではなく、秋田出身といわれている小野小町から来たものです。

山形だけが米のブランド名を新幹線名にあてがうというのは不自然というか、今ひとつ背景をよくわかっていない節はありますね。

 

無下には出来ない

こうした鉄道趣味者(事業者も?)からするとポカンとするような内容ですが、108万人の県民代表として選ばれた知事の話を無下にすることも出来ません。

このあたりは静岡がまさに代表例で、長らく官僚的で冷淡な態度を取り続けたJR東海は、現在ビッグプロジェクトともいえるリニア中央新幹線の建設にて静岡県内の僅かな区間の着工認可が静岡県から降りず未だ建設できていません。

リニア反対を掲げた現職の川勝知事は95万票を獲得し、自民党推薦・元国土交通大臣の岩井さんの62万票を圧倒的に超えて当選しています。

逆に言えば、自社で大きなプロジェクトをする際に、普段からJR東日本のような県への配慮を一定度合い見せていれば、スムーズに話が進んだのかもしれません。

今回の山形県知事による荒唐無稽な提案をなるべく実現させようと尽力しているのも、将来そうした事例が起きない為の潤滑政策と考えられます。(JRも大変ですね…)

 

 

関連リンク

なぜ山形新幹線「つばさ」は色を変えてしまったのか

シルバーの「山形新幹線つばさ」、明日より復活

なぜ「ジェイアール」をカタカナで表記するのか?【コラム】

参考文献

山形県民の声「山形新幹線「つばさ」の名称変更について」(Wayback machine)




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