鳥取県の米子市は、現在市内を走っている381系特急電車「やくも」の引退する車両を、観光資源として活用すべく保存を検討しているようです。
やくもは2024年春以降に273系「やくもブロンズ」への置き換えが発表されている他、2025年3月末までに全列車の撤退が予定されており、波動用として存置する方針もないことが報じられています。
米子市は積極的だが…
保存に積極的な動きを見せているのは、米子市議会の田村謙介議員です。
2021年6月頃から381系の保存について発言されており、現在も継続的に発言されています。
（田村議員）３８１系をはじめ、ディーゼル機関車ＤＤ５１など、引退していく鉄道車両の保存活用につきましては平成２８年３月議会から度々提案をさせていただいており、令和２年１２月議会においては、「ＪＲの退役車両の保存活用について、議員御指摘のとおり、退役車両、例えば特急やくもの新型車両更新後の旧車両といったものについては、鉄道資料として観光資源となり得る可能性はあるというふうに考えております」との御答弁をいただきました。
ＪＲに尋ねていただいたところ、鉄道車両としての使用以外は譲渡しないと、基本的にはそう考えているというお話があったということで回答をいただいております（奥田文化観光局長）特急やくもの退役車両の保存活用についてでございますが、特急やくもの新型車両更新後の退役車両につきましては、鉄道資料としての観光資源となり得る可能性を持っておりますが、ＪＲ様に御意見を伺ったところ、鉄道車両として使用する場合を除き原則譲渡はしていないとの回答をいただいております。また、設置場所や費用面、管理面等でクリアすべき課題もあり、その実現性を含めまして引き続きＪＲ様の御意向を伺いながら研究してまいりたいと思います。
出典：米子市議会「令和 4年 3月定例会（第4号 3月 4日）」
(田村議員)で は 、 続 け て 、 以 前 提 案 を し た 退 役 車 両 の 保 存 展 示 活 用 に つ い
て 、 現 在 の 検 討 状 況 を お 伺 い い た し ま す（深田文化観光局長） 退 役 車 両 の 活 用 に つ き ま し て 、 以 前 に 議 員
か ら 御 提 案 を い た だ い た と こ ろ で ご ざ い ま す が 、 特 急 や く も の 新
型 車 両 更 新 後 の 退 役 車 両 に つ き ま し て は 、 鉄 道 資 料 と し て 観 光 資
源 と な る 可 能 性 を 持 っ て い る と 捉 え て お り ま し て 、 Ｊ Ｒ に 御 意 見
を お 伺 い し ま し た が 、 鉄 道 資 料 と し て 使 用 す る 場 合 を 除 き 、 原 則 、
譲 渡 し て な い と の 回 答 を 以 前 い た だ い て お り ま す 。 し か し な が ら 、
そ の 譲 渡 を 実 現 し て い く た め に は 、 設 置 場 所 の 選 定 で す と か 、 費
用 の こ と で す と か 、 管 理 主 体 の 決 定 な ど 、 そ の よ う な ク リ ア す べ
き 課 題 が あ り ま す こ と か ら 、 そ の よ う な 課 題 を 調 整 し な が ら 、 引
き 続 き Ｊ Ｒ と 協 議 し て い き た い と 、 そ の よ う に 考 え て お り ま す 。出典：米子市議会「会議録暫定版（令和4年9月定例会）」9月13日、田村謙介 議員
米子市側の深田文化観光局長の弁では、381系に鉄道資料・および観光資料となる可能性を見出しており、米子市としても保存に否定的でないことが伺えます。
しかしそれに対してJR側があまり積極的といえず、「鉄道資料として使用する場合を除き、原則的に譲渡をしていない」というにべにもない返答をしています。
「やくも」はスター列車
特急「やくも」は、松江・米子地域を代表する特急電車です。
実際に現地へ行ってみるとわかりますが、鮮やかな紅色の381系はまるでスターのようでした。米子市がこれだけ思い入れを持つのもわかる気がします。
私は基本的に諸手を挙げての鉄道車両保存には懐疑的ですが、こうして車両保存を行う行政側が好意的・積極的に動いているのであれば、柔軟に対応してほしいなと思ってしまいますね。
やくもの保存、果たしてどうなるでしょうか。
関連リンク
参考文献
米子市議会議事録
米子市議会「会議録暫定版（令和4年9月定例会）」9月13日、田村謙介 議員
信濃毎日新聞デジタル『「消滅」まであと２年！伝統の国鉄型特急用電車に刻一刻と迫るその日 鋼鉄製の車体にさび、老朽化進む「鉄道なにコレ！？」』
