JR西日本の長谷川一明社長は、2021年2月18日の記者会見において「ローカル線の維持は難しくなっており、今後の在り方について協議していく」と述べられました。
バスやLRTの転換の他、廃線までを匂わせる見直しについて言及しています。
これまでは近畿圏や新幹線の収益からローカル線を維持する構造を取っていましたが、コロナウイルスの影響でこれら2線区もが大きな乗客減少に見舞われており、取捨判断に迫られていると思われます。
「維持の難しいローカル線」の基準
JR西日本のいう「維持の難しいローカル線」とは具体的にどこを指すのでしょうか。
国鉄時代には、路線廃止の一つの基準として輸送密度が1日4,000人以下という基準がありました。
輸送密度とは
「運んだ人数×運んだ距離」で算出される数値。平均通過人員とも言われる
JR西日本の場合はどうでしょうか。
2018年に廃止された三江線の場合、輸送密度は1日163人でした。
つまり、国鉄時代のように国家事業として鉄道を成り立たせる4,000人というラインまではいかなくとも、流石に200を切るような路線は廃止対象となってもおかしくない、ということです。
もっといえば、今回の場合「12路線22区間が1,000人以下」とJR西日本側が具体的な数字を出していることから、1,000以下の路線はLRT転換など、ヘビーレールとして維持されるかは微妙ということになります。
輸送密度1,000人以下路線はどこ?
それでは、輸送密度が1,000人以下の路線とはどこでしょうか。
以下にJR西日本の持つ輸送密度1,000人以下の駅を挙げてみました。
路線名 | 区間 | 輸送密度 (人/日) |
小浜線 | 敦賀~東舞鶴 | 991 |
姫新線 | 播磨新宮~上月 | 932 |
山陰本線 | 浜坂~鳥取 | 921 |
姫新線 | 津山~中国勝山 | 820 |
山陰本線 | 城崎温泉~浜坂 | 693 |
山口線 | 宮野~津和野 | 678 |
山口線 | 津和野~益田 | 535 |
美祢線 | 厚狭~長門市 | 478 |
小野田線 | 小野田~居能 雀田~長門本山 | 444 |
姫新線 | 上月~津山 | 413 |
越美北線 | 越前花堂~九頭竜湖 | 399 |
山陰本線 | 長門市~小串・仙崎支線 | 351 |
姫新線 | 中国勝山~新見 | 306 |
山陰本線 | 益田~長門市 | 271 |
芸備線 | 備後落合~三次 | 215 |
木次線 | 備後落合~宍道 | 190 |
因美線 | 東津山~智 | 179 |
福塩線 | 府中~塩町 | 162 |
大糸線 | 南小谷~糸魚川 | 102 |
芸備線 | 備中神代~東城 | 81 |
芸備線 | 東城~備後落合 | 11 |
廃止された三江線が163人だったことを考えると、163以下の福塩線・大糸線・芸備線の3線4区間は廃止されてもおかしくない路線区間と言えるでしょう。
むしろ現在まで維持されているのは、収益以外にもその他何らかの理由があって維持されているとも考えられます。
参考文献
西日本旅客鉄道「データで見るJR西日本2020 区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2019年度)」