JR東日本における発車標は、2019年頃からLCDディスプレイタイプが導入されて見やすくなりました。
正式には「ストレッチLCD発車標」というそうです、製造メーカーは株式会社新陽社。
フォントもアンチエイリアスが効いて、滑らかで綺麗…
………ん? ちょっと待った。待った。
ど う し た 横 須 賀 線。
何故か「横須賀線」の文字だけ、ファミコンっぽい8bitライクなドット打ちになっています。
https://twitter.com/OsakaSubwaycom/status/1588836468747042819
あまりにシュールすぎてTwitterにも書いたのですが、実はそれなりの理由がある…と教えて頂きました。
「戸塚現象」とは
この表示を「戸塚現象」と言うそうです。もちろん公式なネーミングではなく、あくまでファン発祥の俗称です。
おそらく戸塚駅の発車標でよく見られたのがネーミングの由来と思われますが、発祥自体は2014年に東京駅の24ドットフルカラーLED発車標で表示された「品川」の表示が最初のようです。
ちなみに、先の画像は横須賀線東京駅ホームです
戸塚現象は、小さい解像度(16ドット)のフォントを、高解像度な表示ができるモニタへ無理やり引き伸ばして表示した結果、膨張して違和感を持った表示になる現象を指します。
例えば…
例えばここに、240×100ピクセルで作った「横須賀線」の文字があります。
これを無理やり1024×427ピクセルの画像に拡大してみます。すると…
こういう感じで、解像度が低いデータを無理やり引き伸ばしているのでぼやけた画像となってしまいます。
戸塚現象は、原理的にはこれと同じ…というわけです。
流用している?
しかし、今回のものは戸塚現象ではなくLED発車標のデータをそのまま流用しているだけという説もあります。
確かに今回の発車標はLCDタイプで、ドット表示ではないのでぼやけてはおらず、あくまでドット打ち感が強くなっているに過ぎません。
広義ではこれも「戸塚現象」の一部と捉える向きもありますが、どちらにしてもそれ専用のフォントがないので、仕方なく既存のものを流用したということが今回の答えのようです。
多様な行先表示が必要な、JR東日本特有の事情も垣間見えますね。
ちなみに
Twitterでこの「戸塚現象」を紹介した際、何故かニコニコ大百科の急上昇ワードにランクイン。
ウマ娘と並んで、3位に「戸塚現象」が入っていました(笑)
関連リンク
参考文献
ニコニコ大百科「戸塚現象」
ATOS解説のお部屋「戸塚現象」
グッドデザイン賞「旅客案内情報表示装置 [ストレッチLCD発車標]」
株式会社新陽社『旅客案内情報表示装置「ストレッチLCD発車標」2020年度グッドデザイン賞を受賞』