ちょうど近鉄線内で京都市営地下鉄20系の試運転があった日、帰り道に生駒に寄って生駒ケーブル(生駒鋼索線)に行ってきました。
生駒ケーブルに乗るのは20年ぶりかそこらで、大阪に住んでいると「近いけど意外と行かない」、そんな路線です。
生駒ケーブルは、生駒駅近くにある鳥居前駅~宝山寺間の宝山寺線と、宝山寺~生駒山上間の山上線の2路線が敷設されています。
生駒ケーブル(宝山寺線)の開業日が大正7年8月29日だったことから、同日は「ケーブルカーの日」として制定されるほど由緒正しき路線。
宝山寺線は通勤客もいる日常路線、山上線は殆どが山上にある遊園地への行楽路線で、同じケーブルカーでもその性格は全く異なります。それぞれを紹介しましょう。
宝山寺1号線
阪奈民には有名な「ブル・ミケ」のケーブルカーがいるのがここ。
車両的には「コ11形」というモデルで、外観を犬と猫にカスタムしています。通勤でこれに乗るのか…
コ11形「ブル」。2000年に近畿車輛で製造・登場した2代目車両で、その名の通りブルドックをイメージしたデザインになっています。
コ12形「ミケ」。ブルと同じタイミングで登場した車で、三毛猫をイメージ。キャビン内では「ねこふんじゃった」のBGMが流れています。
ブルとミケのケーブルカーは「宝山寺1号線」と呼ばれ、途中の鳥居前3号踏切ですれ違います。
ケーブルカーではありますが、通勤通学需要もあるので20分間隔、かつ6時~23時まで運行。点検日以外は終日こちらの宝山寺1号線が運行されます。
ちなみに、本物の「ブルドック」「三毛猫」を持ち込むことも可能です。手回りきっぷを購入してゲージに入れることが条件となります。
宝山寺2号線
華々しい「ブル・ミケ」の1号線とは随分テイストが異なり、こちらは昔ながらのケーブルカーの佇まいを見せる宝山寺2号線。基本的には1号線が点検日となる毎週木曜日(朝ラッシュ以後のようです)のみ運行されます。
1953年に登場したこのコ3形「すずらん」は、現役では最も古いケーブルカー車両です。
「ブル・ミケ」が登場した2000年に生駒市の小学生に描いてもらったイラストを貼り付けて「ゆめいこま号」として長らく運行されていましたが、開業95周年を記念して登場当初のカラーリングへと復刻が行われました。
相方となるコ4形の「白樺」号。
何故かこれだけ漢字ですが、ひらがなにして反対から読むと「ばからし」と読まれるから…だそうです。
このように「ブル・ミケ」の宝山寺1号線と、「すずらん・白樺」の宝山寺2号線、2つのケーブルカーが敷設されています。すなわちこの宝山寺線は複線(厳密には単線並列)なのです。
ちなみに、宝山寺2号線は1号線の点検日(毎週木曜日)に運行される他、正月には参拝客輸送で1号線・2号線の両方がフル稼働するシーンも見られるそうです。
山上線
宝山寺駅から更に上がるには、2つ目のケーブルカーに乗り換えです。
こちらは山上線と呼ばれ、完全に観光需要のみとなるので40分間隔、18時までの運行となります。
使用されている車両はコ15形で、それぞれ「ドレミ」「スイート」という愛称があります(写真はドレミ編成)。
今回はこちらに乗らなかったので、簡単な紹介だけに留めておきます。
ギャラリー
宝山寺駅も駅名標は新しいフォーマットに変化していますが…
昔の黒地背景の看板もまだ残っていました。
発車標も綺麗に手入れされています。
宝山寺駅では日本全国のケーブルカーを比較したホワイトボードを設置。
近畿日本鉄道(生駒ケーブル)が堂々一番上に掲げられており、こころなしかちょっと誇らしげに見えますね。
関連リンク
参考文献
近畿日本鉄道「生駒ケーブル開業95周年を記念して「すずらん号、白樺(しらかば)号」が復活!~生駒ケーブル宝山寺2号線車両のリニューアル塗装を実施しました~ 」