名古屋市営地下鉄東山線は、昭和30年代に建設された、比較的古い地下鉄であり、名古屋市営地下鉄の中心的な路線です。大阪でいう御堂筋線、東京でいう山手線のように、街を代表する鉄道路線となっています。
そんな東山線には、幻の駅計画として「柳橋駅という計画があった」ことは、名古屋人の皆さんなら結構有名な話かと思います。
2014年に河村たかし 名古屋市長がこの駅の復活を計画し、また2018年度から調査費を計上すると報じられています。
名古屋市の河村たかし市長は29日、かつて市営地下鉄東山線の名古屋-伏見間に計画された「柳橋駅」の新設に向け、構想を具体化する調査費を2018年度当初予算案に計上する方針を表明した。
駅の予定地は名古屋駅の南東にある柳橋中央市場の近く。市交通局によると、駅は1957年の同線開業前の計画にあったが、利用者が少ないとの予想から見送られ「幻の駅」と呼ばれる。将来の駅開設に備えたような全長約150メートルの構造物があるという。
名古屋-伏見間は市営地下鉄全線で2番目に長い約1.4キロある。地元住民から新駅を求める声があるほか、再開発が進む名古屋駅南方面へのアクセス向上を図る狙いもあり、市は今年度、柳橋地区の再開発と駅設置の可能性を探るまちづくりの調査報告書をまとめる方針だ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171129-00000068-mai-soci
当時の計画
この記事を書くに当たり、柳橋駅の駅名標を作ってみました!実在するとこんな感じなんでしょうかねぇ…
当時の計画を見ると、柳橋駅は幅員4.0mの相対式ホームを地下2階に配置、地下1階の改札階を作ることとしています。
柳橋駅
場所:名古屋~伏見間(キロポスト685m~795m間)
形状:相対式ホーム
深さ:地下2階式、地下1階を中階とする
幅員:4.0m(伏見駅と同じ)
有効長:105m
勾配:2.5‰
出典:名古屋市交通局『柳橋構造物平面図』、1955年10月(http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/1965851.html)
柳橋停留場は名古屋・栄町(注:現在の栄駅)間が開通しても利用客が少ないと考えられる点から、第1期工事においてはこれを保留することとし、将来必要となったときに設けることとした。したがって、この間の一般隧道構築は、将来停留場に変更できるよう考慮して設計した(名称柳橋構造物)(中略)
現在この間の中柱間隔は2.25mであるが、停留場となった場合はこれを4.5mとし、地下1階を設けて地下2階構造物とする。(中略)
停留場出入口は市電江川線(注:現在の名古屋市道江川線)中心から西へ約30mの位置に設け、地下1階に連絡し、さらに階段を経て幅員4m、有効長105mの相対式乗降場に達する計画とした。
出典:名古屋市交通局高速度鉄道建設部計画課『名古屋市高速度鉄道建設史』1959年、129p
この駅、当時でも比較的名古屋駅と近接していましたが、名古屋駅のキャパシティ増強の為の拡張工事(有効長12両編成化)の結果、仮にこの場所(西柳町交差点付近)に設置した場合、名古屋駅とめちゃくちゃ近くなる(恐らく400mぐらい)ようです。
【追記】名古屋駅の増強工事は中村公園側(反対側)へ…なので、駅間区間は変わりがない…ということなのだそうです。
現実的には問題が山積み
ただ、名古屋の議員さんのブログによると、名古屋市交通局からは次のような理由から「施工は難しい」とアナウンスしています
■ 「やなぎばし駅」を設置する可能性は?
→物理的には可能だが、困難だと考えている。■ なぜ?
→以下の理由がある。
・「やなぎばし駅」の上部空間に、名古屋高速のランプがあり、橋脚等をよけながら工事を進めるのは難しい。
・現在、路線は営業中であり、工事自体が厳しい。
・地下鉄桜通線国際センター駅との距離が300m程度しかなく、新たな乗客の掘り起こしは難しい。新駅を設置しても収入は増えない。
・新駅をつくると乗務員の人件費や駅の管理費、運行費用などがかさむが、それだけの収益がない。
・現在、名古屋駅-栄間はおよそ5分だが、新駅をつくるとさらに1~2分所要時間がかかる。出典:http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/1887685.html,2012年1月23日
ただ、いろいろな既成概念をぶち壊して、あおなみ線にSLを走らせたあの河村市長さんですから、これらの問題をざっと解決して実現しそうではありますね!
地下鉄ファンとしては今後の動きに期待です!