時は1989年。バブル時代真っ盛りのこのご時世に未来の鉄道計画を国主導で話し合う「運輸政策審議会」が開かれていました。
そこで出た未来の路線図計画が、もし全て実現していたら…というのが上のマップです。
あの時から30年。おおよその実現率は半々といったところでしょうか。
ここでは大阪メトロ関係以外の関西の鉄道について詳しく解説していきます。
大阪メトロと、それに連なる北大阪急行・近鉄けいはんな線については「Osaka-Subway.com」にて書きましたので、そちらをご覧ください。
現在工事中のもの
なにわ筋線・なにわ筋連絡線
路線区間:新大阪~梅田北~なにわ筋~湊町/汐見橋
十三~梅田北
長らく様々な媒体で言及されていたものの話が進まず、2018年頃からようやく進みだしたプラン。
現在はまず梅田北(大阪駅)の開発から始まっており、2023年に新大阪~梅田北が開業することになります。
一方梅田北から南側は2031年の開業を予定しており、現在プロジェクトがスタートしたところです。
南海側の接続駅は汐見橋駅を予定していたものの、難波駅西側の大阪シティバスのバスターミナル地下に「新難波駅」を設けるプランに変更されています。
まだ構想段階のもの
新大阪連絡線
路線区間:十三~新大阪~淡路
阪急の十三・淡路間を結ぶ新規路線。実はかなり前からこのプランはあり、御堂筋線新大阪駅では50年も前から準備工事を行っています。
ただし、阪急が新大阪の駅用地として保有する土地にホテル「remm」を建設したことから、しばらくは動きがないものと見られます。
大阪国際空港~武庫之荘方面
路線区間:大阪国際空港~伊丹付近~武庫之荘方面
事業者は不明。大阪国際空港を起点としていることから大阪モノレールかと思われますが…
取りやめられたもの
水間鉄道新線
路線区間:清児~土丸 …犬鳴方面
現在水間鉄道は南海の貝塚駅から水間観音駅を結んでいますが、途中の清児(せちご)駅から分岐して土丸へ、更に泉佐野市にある犬鳴山方面へと繋ぐプランがありました。
しかしながら1996年に資金不足等から建設を断念。現在では住宅地として分譲されていることから、再び延伸する可能性は消えてしまいました。
実現したもの
片福連絡線
路線区間:京橋~梅田付近~尼崎
現在のJR東西線のことです。おおよそルート通りの開業で、梅田付近は「北新地駅」になっています。
大阪外環状線
路線区間:新大阪~鴫野~放出~加美
現在のJRおおさか東線のことです。
中之島線
路線区間:天満橋~渡辺橋~玉江橋
現在の京阪中之島線です。路線名・駅名共に殆どそのままで開業していますが、唯一「玉江橋」のみは「中之島駅」として開業しています。
中之島駅でなにわ筋線と乗換になる予定で、京阪沿線・京都市街地方面から関西空港への最短ルートとなります。
阪神西大阪線の延伸線
路線区間:西九条~九条~難波
現在の阪神なんば線のことです。この区間は50年前からプランがあったものの、九条商店街の住民の反対運動が激化していたことから着手できない状態でした。
鉄道に反対した結果、徐々に商店街は時代に取り残されていきました…。
大阪モノレール
路線区間:大阪国際空港~千里中央~万博記念公園~南茨木~門真 …茨田、荒本・堺方面
このプランが出された時点ではまだ全くの未開業路線でした。1990年に初めて千里中央~南茨木間が開業しています。
現在は大阪空港~門真市間が営業中で、荒本・瓜生堂への延伸工事をスタートさせています。
国際文化公園都市モノレール
路線区間:万博記念公園~阪大病院前~国際文化公園都市
仰々しい名前がついていますが、現在の大阪モノレール彩都線のことです。国際文化公園都市とは現在の彩都西駅のこと。
万博記念公園が起点となっていることから、おそらく当時より大阪モノレール線として開業させる算段であったものと思われます。
泉北高速線の延伸線
路線区間:光明池~和泉中央
現在は既に開業済みですが、当時の泉北高速鉄道は光明池まででした。
関西国際空港連絡線
路線区間:泉佐野/日根野~前島~関西国際空港
前島とは、現在の「りんくうタウン」のことです。1994年の関西国際空港開港にあわせて整備されました。
総評
いかがでしたでしょうか。
もしバブル期に計画された通りだったら、ここまでに紹介した鉄道が全て完成していることになります。
このプランは、2004年に開催された「近畿地方交通審議会答申第8号」という審議会でいくつか修正され、現在では白紙になったプランもあります。
個人的には、水間鉄道の延伸は是非とも見てみたかったですが……無常ですね。
関連リンク
参考文献
運輸政策審議会「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について(抄)(答申第10号)」、平成元年5月31日