フォントメーカーの2巨塔

鉄道のサインシステムで使用されているのは、ほとんどが「モリサワ」「写研」の2メーカーのものです。どちらもルーツは同じですが、途中で「モリサワ」を作ることになる森澤氏が独立して分離されました。

モリサワはPCでも使えるようにフォントの製品化に積極的で、代表的なフォントには「新ゴ」「見出しゴ」「フォーク」などがあります。

それに対し、写研はフォント製品化に消極的…というかもはや否定的で、2011年に製品化を一度は公言したものの、6年経っても未だに実用化されておらず、時代の情勢についていけていません。代表的なフォントには「ナール」「ゴナ」など。

 

何故フォントの製品化をしないのかには、Wikipedia出典ですが以下のようにありました。

「正しい文字組みが保証された環境を維持したい」という会社の方針から、同社はフォントを単体では販売していない。このこともあってか近年は低コスト・効率化を実現するDTPシステムの発展・普及により、そのシェアを譲っている。

こういう事情もあって、近年の鉄道サインについては、誰もが簡単に使えるフォント化したものがラインナップにある「モリサワ」製のものを採用する事業者が多くなっています。

 

大阪市交通局

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Osaka-subway.comでも度々言及していますが、大阪市交通局のサインシステムのはしりは「ひげ文字」です。その独特な表記に魅了される方も多いのではないでしょうか。

 

ひげ文字からサインシステムへの移行期にオリジナル書体が登場します。これはどことなく国鉄の「JNR-L」フォントに近いものがあり、意識していた様子が伺えます。

 

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オリジナル書体の後、本町駅にゴシック4550を使用したサインシステムを試験的に制定。

これがうまくいったからなのか、その後はなんば駅を皮切りにこのサインシステムを展開していきますが、どのタイミングかで和文が見出しゴMB31に変更されています。

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そして2014年、新サインシステムとして「ヒラギノ角ゴ」が採用されたものが登場しました。

これはデザイン会社のGKデザイン社が担当したもの。英文は、日本の鉄道事業者としては初めての「パリサイン」が採用されています。

 

大阪市交通局のサイン制定変遷

ひげ文字 (1965~?)

オリジナル書体

ゴシック4550(鎌田経世 氏製作) / Helvetica (1977)

見出しゴ MB31(モリサワ) / Helvetica (1978?~2014)

ヒラギノUD角ゴ / Parisign (2014~)

 

京都市交通局

ゴシック4550を採用中。地下鉄線内での視認性を意識してなのか、黒地にオレンジ色のデザインです

 

神戸市交通局

神戸市営地下鉄 サインシステム

初期に開業した西神・山手線には、日本語には新聞特太ゴシック体(YSEG-L)?、英文にヘルベチカが採用されています。

サインシステムの開発は株式会社星光が1975年に行っています

こちらは海岸線仕様。和文に「ヒラギノ角ゴ」のW5/W7を、英文には「Frutiger」のBold/Romanを使用しています。

神戸市営地下鉄 サインシステム

プリンターやプロッターの種類や機種を選ばずに出力できるよう、アウトラインデーターが公開されていること等を条件として、和文書体としては「ヒラギノ角ゴシック体」のファミリーを採用し、文字数が少なく大きく扱う表記にはW7を、情報量が多く文字数が多い時にはW5を使用することにした。

また、英文書体としては同じ理由から「フルティーガー」のファミリーを採用することとし、ヒラギノゴシック体W7にはFurutiger-Boldを、W5にはFurutiger-Romanを組み合わせて使うこととした

参考文献:『神戸市交通局八十年史』(2002年10月,神戸市交通局)

 

【解説】神戸市営地下鉄に用いられるサインシステム

 

京阪電気鉄道

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以前のものは広告との併記で極めて見難く、また不格好なものでした

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が、2008年のCI一新で実にスマートなイメージになりました。

非鉄道系の友人に聞いても「京阪はなんとなくカッコいい」とまで言わしめ、更に鉄道のブランドイメージ調査で2位に浮上するなど、着実に新しい京阪のイメージが根付いた、まさにCI一新がブランドイメージを向上した良い例となっています。

ちなみに、同じ京阪でも軌道線である石山坂本線では、引き続き「ゴナ」を使用中。

京阪電鉄のサイン制定変遷

ゴナ(写研)

2006年~ 新ゴ(モリサワ) / Frutiger

 

 

南海電鉄

南海のサインシステム

南海のサインシステムは1988年7月の関西空港と本線の結節点になる泉佐野駅にてテストとして登場したのが最初です。

参考文献:http://yokochan.fc2web.com/i/line-color-nankai1.htm

日本語にゴシック4550、英字にユニバース(ヘルベチカ?)を採用した、どこか優しい印象を持たせながら、機能美を保った優秀なサインです。

【追記】英字について「ユニバース」ではないか、とご指摘を受けました。確かにフォントのサンプルを見ていると「G」の表記に顕著な差が見られます。ただ、制定当初と現在で異なる可能性も捨てきれないので、ここではどちらも掲載しておきます。

但し、取り換えスピードがかなり遅く、2015年までは樽井や我孫子道、蛸地蔵などに筆文字も残っていました。サインシステム制定前までも本線は青、高野線は緑という色分け自体はなされていたようです。

 

 南海では平成元年4月より「南海電鉄旅客案内サインマニュアル」を制定し、主要な駅でこのサインマニュアルに沿ったサインシステムの整備が進められました。このサインシステムは、『第24回SDA賞コンテスト(日本サイン・デザイン協会主催。日本で唯一のサインに関係する賞)』の「SDAシステム部門賞」を受賞し、優れたサインシステムとして認められています。現在最新の駅名標はこのサインシステムに沿ったデザインのものです。

出典:http://denshanokomono.web.fc2.com/eki/nankai/index.html

南海のサインシステム

一つ一つにピクトグラムが考えられています。

南海のサインシステム

高野線は緑色、本線は青色で表記されます。

また2015年頃に樽井駅に登場したナンバリング入りのものから、マイナーチェンジが行なわれて和文が「新ゴ」になっています。

 

南海電鉄のサイン制定変遷

ゴシック4550(鎌田経世 氏製作) / Helvetica

新ゴ  / Helvetica

 

ネット上でも評判の良いサインの一つです。

 

阪急電鉄

大手関西系では唯一の写研フォント「ナール」を使用していることでデザイナー界隈にも有名でしたが、DTP化についていこうとしない写研に見切りをつけたのか、「イワタUD丸ゴシック」が近年採用され始めているようです。

出典:https://matome.naver.jp/odai/2133883151920255301

よく似ていますが、うめだの「だ」の表記が大きく異なっているのがわかります。

 

駅構内のサインもイワタUDゴシックへ、「り」と「3」の特徴的な表記で判別できます。

【参考】イワタUDゴシックのサンプル例

 

阪急電鉄のサイン制定変遷

ナール(?~2013?)

イワタUD丸ゴシック(2013?~)

 

近畿日本鉄道

駅名標制定時から、大阪に本社を置く「モリサワ」との関係が深く、早期から新ゴが見られました。現在はイワタUDゴシックが用いられています。

 

 

阪神電鉄

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京阪と同様に広告併記の見難いものでした。

また、現在では普遍的なモリサワのフォントを最初にサインシステムに採用したのは、1970年の阪神梅田駅だそうで、 和文に「モリサワ写植正体ゴシック」、英字に「ノイエ・ハース・グロテスク(Neue Haas Grotesk)」を使ったのだそうです。

モリサワは大阪が誇る文字フォントの会社ですが、最初にサインシステムにフォントを使うという先見の明があったのは、やはりこれも大阪の阪神電鉄でした。

またNeue Haas Groteskは、世界一著名なあのフォント「Helvetica」の元となったフォントです。

 

参考文献:中西あきこ『されど鉄道文字』 252p

されど鉄道文字―駅名標から広がる世界
中西 あきこ
鉄道ジャーナル社
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2009年のなんば線開業を機にサインシステムもリニューアル。和文には珍しい「ロゴG」を採用。

 

モリサワ写植正体ゴシック(梅田のみ?)

ゴシック4550

ロゴG(2009年~)

 

神戸高速鉄道

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現在は阪神電鉄の子会社ですが、以前は神戸市が筆頭株主の「株式会社 神戸高速鉄道」と独立した存在でした。

現在は花隈が阪急式、その他の駅が阪神式の駅看板に架け替えられています。

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JR西日本

新ゴを採用

 

神戸電鉄

親会社の阪急にあわせたようなデザインですが、フォントは「角ゴシック」を採用。

 

泉北高速鉄道

接続する南海電鉄にあわせたのか、ゴシック4550を採用。珍しく初期から4ヶ国語表記を採用しています。ユニバース(ヘルベチカ?)を採用する英字は南海と同じく大文字のみの表記です。

京福電鉄(嵐電)

珍しいダイナコムウェア製「太丸ゴシック」を採用。

 

フォント製作者まとめ

ゴシック4550:鎌田 経世(営団地下鉄で初採用)

国鉄すみ丸ゴシック:佐野 稔

 

参考文献

大阪の鉄道会社が何かと使用しているフォントまとめ – NAVERまとめ

関西の鉄道 No.43 2002 盛夏号 – 関西鉄道研究会

関西の鉄道 No.60 2012 新春号 – 関西鉄道研究会


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