【淡路で保存】「最後のマンモス」EH10形を見てきました

【淡路で保存】「最後のマンモス」EH10形を見てきました

1957年に製造されたEH10形電気機関車

なんと「現在ではたった1両のみとなった貴重な機関車が、大阪の東淡路南公園に保存されている」と椿ティドットコムさんのサイトに書かれていたので、私も見てきました。

 

現地に行ってみる

「東淡路南公園」という東なのか南なのかよくわからない公園名ですが、現地は阪急淡路駅に近い場所にあります。

現地は閑静な住宅街です。

EH10形は、そんな公園の最北端に静態保存されています。

あだ名は「マンモス」。当時国鉄最強のパワーだったことや、のっぺりとした巨体からこう呼ばれたそうです。

気かん車内…?

屋根付きなので保存状態は比較的良好ですが、廃車されて既に40年近くが経過している為、そこそこの経年劣化は見られます。

機関車の横には立て札があります。

EH1061号機の経歴

製造年月日 昭和32年6月27日
廃車年月日 昭和57年2月4日
製造所 東京芝浦電気(株)
配置機関区等 吹田第二機関区
運転線区 東海道、山陽本線
運転KM 3,675,454km 地球を約92周
保存場所 大阪市東淀川区 東淡路南公園内

あゆみ
昭和30年の東海道本線米原電化に際し、関ケ原の10‰の勾配区間を1200tonの貨物列車をけん引するためには、従来のEF15形式では不可能なためそれに変わる高出力の電気機関車が要求された。
そこで生まれたのがこのEH10形式で、第1号車は昭和29年に完成し、電気機関車で初めてのボギー台車(DT101)を採用し、出力2530KW、最高速度80KM/hのユニークな二分割車体で、東海道本線貨物列車の主力機関車として活躍することになった。東海道本線の電化は順次西進され、昭和31年全線電化完成EH10形式は全体で64両製作され、稲沢第二、吹田第二両機関区に配置された。しかし時代の流れとともに老朽化が進み後進のEF60、EF65形式にその主力の座を明渡し昭和57年、この61号機を最後に唯一のユニークな二分割車体のEH10形式は国鉄のレール上から姿を消すこととなった。

大阪市公園局
日本国有鉄道

 

EH10形について

大馬力を目指して

EH10形機関車は、定格出力2,600kWのパワーを持っています。

現在の機関車から見ると少し物足りなく感じる数値ですが、当時としては日本最強の電気機関車でした。

【参考データ:現在の機関車との比較】

車両名 車輪数 出力・馬力
EH10形機関車 8輪 電動機定格出力:441馬力(325kw)
編成出力:3,535馬力(2,600kw)
EF65形機関車 6輪 電動機定格出力:577馬力(425kw)
編成出力:3,399馬力(2,500kw)
EF66形機関車 6輪 電動機定格出力:883馬力(650kw)
編成出力:5,302馬力(3,900kw)
EF210形機関車 桃太郎 6輪 電動機定格出力:768馬力(565kw)
編成出力:4,609馬力(3,390kw)

 

運用される大垣~関ケ原間の10パーミル勾配が6kmも続き、従来のEF15形機関車で単機牽引するとパワー不足で電動機(モーター)が焼き付くことから、大幅なパワーアップが必要で力強い機関車が求められたことからEH10形が開発されています。

EF15形よりも30%のパワーアップに成功し、関ケ原越えは勿論のこと平坦区間においてもスピードアップの恩恵があったそうです。

 

また、現在の機関車はほとんどが「EF」形ですが、この機関車は「EH」形と少し名称が異なります。

これは車軸数が多いことが理由です。

D…4軸(アルファベットの4番目)
F…6軸(アルファベットの6番目)
H…8軸(アルファベットの8番目)

車輪は左右で軸によって繋がっていますが、この「軸の数」で形式を表すのです。

車体はブラックに黄色のラインを巻き、車体も相まって非常に重厚なスタイルなことから、「クマバチ」という愛称があったとか。

EH10形は2両がひっついたような形状になっていますが、これは

・強力なパワーを足回りに伝えるべく車軸数を8つにしていること
・カーブを曲がるために車体を分割する必要があること

が理由です。

EH形は数が少ないものの、現在でも「EH500形 金太郎」「EH800形」など最新鋭のEH形機関車が稼働しています。

これら車両もEH10形と同じように車体が2つくっついた形状となっています(分割して走ることは出来ません)

EH10形はEHタイプとしては初めての形式で、偉大な先輩でもあるのです。

 

 

現在京都鉄道博物館にて保存されている、コンテナ特急貨物列車「たから号」も牽引したのだとか。

まさかこんな貴重な機関車が、大阪に保存されているとは思ってもみませんでした。

淡路近くに立ち寄られた際は、皆さんも是非一度訪問されてみてはいかがでしょうか。

 

現地マップ

現地は、阪急淡路駅から10分ほどの場所にあります。

 

関連リンク

淡路近くで保存されている「DF50形」を見てきました

【コラム】電車を馬力換算するといくらなのか?

 




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