九州旅客鉄道株式会社は、2021年度(2022年3月期)の決算を発表しました。
今回の発表によりますと、黒字か赤字かを示す「親会社株主に帰属する当期純利益」は、132億円の黒字決算となりました。
JRグループでは唯一の黒字転換を果たしています。
概況
昨年度は189億円の赤字を計上していましたが、今期は132億円の黒字転換を果たしています。
メインの鉄道は222億円の赤字と厳しい数字でしたが、不動産(179億円の黒字)や建設(70億円の黒字)が奮闘したことで営業利益を黒字転換、また保有資産のREITへの売却をしたことで最終的な純利益も黒字となりました。
REITとは?
「不動産投資信託」とも。語源はReal Estate Investment Trustの頭文字から。
投資する人が出したお金で不動産投資を行い、そこで得られた各種収入(賃料収入や売却益など)を投資した人に還元する金融商品のこと。
実際に不動産を運用するのは難しいのでプロに担ってもらい、間接的にオーナーとなる方式。
ただ、今年度のJR九州は合理化やサービスダウンが著しかったのもまた事実です。
・合理化の面では座席撤去や無人駅の大幅拡大、特急料金の値上げなどが、
・サービスダウン面では駅の看板(駅名標)や時刻表が撤去されたり、発車標(電車時刻を案内する電光掲示板)を夜間時間帯などで非表示にさせる
などなど…
その様相を見て、浪漫鉄道ならぬ「不満鉄道」だとも揶揄されています。
正直これらを見ていると、今回の黒字化は手放しに喜べるものとは言い難い節があります。
JR6社比較
売上高 | 営業利益 | 純利益 | |
---|---|---|---|
JR東海 | 9351億3900万円 | 17億800万円 | ▲519億2800万円 |
JR東日本 | 1兆9789億6700万円 | ▲1539億3800万円 | ▲949億4800万円 |
JR西日本 | 1兆311億300万円 | ▲1190億9100万円 | ▲1131億9800万円 |
JR九州 | 3295億2700万円 | 39億4400万円 | 132億5000万円 |
JR北海道 (未上場) | 1103億円 | ▲727億円 | ▲10億円 |
JR四国 (未上場) | 311億円 | ▲221億円 | ▲52億円 |
今年もJR九州の発表で、JR旅客系6社の決算が全て出揃いました。
先述したように、JR九州は旅客系6社の中では一番乗りで黒字転換を図っている他、JR西日本は売上高1兆円を回復しました。
JR東海も営業利益をの黒字転換を図るなど、徐々に回復の兆しが見えてきているように感じます。
この調子で、2022年は良くなりますように…。
関連リンク
参考文献
- JR九州「2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
- JR九州「2021年度決算について」