【メモ】大阪駅の屋根は取る予定だった?取らない予定?

【メモ】大阪駅の屋根は取る予定だった?取らない予定?

2011年に完成した、5代目大阪駅。

 

大きな屋根が覆いかぶさり欧州のターミナル駅のような開放的な駅になるのかと思いきや、まさかの小雨が入るということで全面開放にはならず、中途半端にガラス屋根がついて開放部分にも支柱が残されるなど、残念な結果となってしまいました。

 

一般的には「設計ミス」ということで広く認知されており、(ホームの中途半端さ的に)私もそう思っていたのですが、ニコニコ大百科に気になる一文がありました。

大阪駅ホームの上屋は当初から開業に合わせて撤去するという一部報道にあるような予定は無かった。

出典:ニコニコ大百科「大阪ステーションシティ

 

果たして、どちらが本当なのでしょうか。

この記事では結論が出なかったので、これまで調べてきたもののメモ、いわば「途中経過」をここに記しておきます。

 

朝日新聞の主張

リニューアルのシンボル・大屋根の下に、風に飛ばされた雨が横から吹き込むことがわかり、撤去するはずだったホームの古い屋根に手をつけられない(中略)

JR西によると、ホームの屋根には戦前の1940(昭和15)年に作られたものもあるといい、開業後は、各ホームの古い屋根は両端の数メートルを残してすべて撤去する計画だった。「ホームの乗降客に最高55メートルある大屋根の開放感を体感してもらいたい」とPRしていた。

ところが、昨年10月の大屋根の完成後、大屋根の両端にある開口部から霧状になった雨が横風に飛ばされてホームに舞い込むことがわかった。JR西の工事関係者が意外な光景を見たのがきっかけだった。

ちょうどそのころ、8番線ホームの幅を約4メートル広げたが、大屋根ができたこともあり、ホーム屋根の拡張を見送った。そんな時、屋根がかからないホームに立っていた乗客が傘をさしていたのが目撃された。JR西が調べたところ、大雨が降っても風が弱いと問題ないが、小雨でも横風が強いと水滴がホームに吹き込むことがわかったという。

このため、JR西は今月4日のグランドオープン後に予定していたホームの屋根の撤去工事を急きょ見合わせることにした。

JR西創造本部の宮崎博司課長は「このままにはしておけないので、可能な限り古い屋根を外し、雨があたらない対策を考えたい」と話す。社内では現在、古い屋根を透明のものに付け替える案など、複数の方法が検討されているようだ。(千葉正義)

出典:朝日新聞「JR大阪駅、古い屋根外せず 新装大屋根、雨吹き込む」、2011年5月19日

 

5月に全面開業した新しい大阪駅に設置されたドーム屋根は各ホームから吹き抜けの構造で、開放感が売り。ホーム上の屋根は両端を除いて撤去する予定だったが、、雨天時に風向きや風速によって雨が吹き込むケースがあることが判明。一部の屋根をガラスに取り換えることにした。

出典:四国新聞「大阪駅ホーム屋根をガラス張りに/JR、雨防止と眺望確保」、2011年7月1日

 

鉄道に強い朝日新聞を筆頭に、新聞各社は「両端を除いて撤去する予定だった」と主張しています。

朝日新聞では記者の署名と共に取材したJR西日本担当者の氏名も入っており、かなり具体的に踏み込んでいます。

 

 

JR西日本の主張

最後に、ホーム屋根が残っている件についてお話しさせていただきます。グランドオープン時にホーム屋根を全部取り外すという計画は当初より入っておらず、一部報道にあったように「急きょ工事を見合わせた」ということではありません。現在東西ホーム端の新しい屋根は既に完成しております。雨が降り込むのを防ぐため、当初の計画どおり屋根を取り付けております。現在は主に橋上駅部分の天井設置工事を優先して実施しており、その後古い屋根は順次撤去する予定です。ただし、天候によって一部の場所で雨が霧状に舞い込むことも考えられますので、梅雨時期の状況を見ながら、場合によっては部分的に透明な屋根を設置することなども検討していく考えです。不確定要素はあるものの、年度内目途で完成させたいと考えております。今後も可能な限りの対応をさせていただきたいと考えております。

出典:JR西日本「5月定例社長会見」 平成23年(2011年) 5月20日
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175320_799.html

一方、JR側は「急遽工事を見合わせたということではない」と主張していました。

 

 

両者のすり合わせ

撮影日:2021-10-14

朝日新聞:「各ホームの古い屋根は両端の数メートルを残してすべて撤去する計画

 

JR西日本:「グランドオープン時にホーム屋根を全部取り外すという計画は当初より入っておらず」
「現在東西ホーム端の新しい屋根は既に完成しております。雨が降り込むのを防ぐため、当初の計画どおり屋根を取り付けております。

ここは整合性が取れていますね。どちらも「ホーム端っこのちょっとは残す」ということを表しています。

 

 

 

朝日新聞「大雨が降っても風が弱いと問題ないが、小雨でも横風が強いと水滴がホームに吹き込むことがわかったという。このため、JR西は今月4日のグランドオープン後に予定していたホームの屋根の撤去工事を急きょ見合わせることにした。

 

JR西日本「一部報道にあったように「急きょ工事を見合わせた」ということではありません。」

 

朝日新聞は「ホーム屋根撤去工事を急遽見合わせた」、JR西日本は「元からこの計画で急遽見合わせたものではない」とすれ違いが起きています。

本来であれば公式側の主張の方が信憑性が高いのですが、今回の件に関しては朝日新聞側の取材にJR西日本の関係者も入っていること、JR西日本側からすればいわば「落ち度」の可能性があることから、正直どちらも同程度の信憑性であると言えるのではないでしょうか。

 

時系列

過去のリリースからもう一度辿ってみましょう。

2005年

出典:https://aspect-design.info/TEST/MF/OTB/gallery/

 

大阪駅の構想について、一番最初の発表があったのは2005年4月。

少し画像が小さいですが、2005年時点でのプレスリリースでは駅端部に屋根がついていると共に、真ん中部分は透明屋根でなく吹き抜けになっていることがわかります。

また、ホーム屋根の支柱も見えません。

尚、この時点のリリースでは屋根の有無について言及はなく、あくまでイメージ画像から読み取れるものです。

 

2008年

https://blog.goo.ne.jp/motosukeatryukyu/e/472d9e75cd060d9cd50a6ca861edbd35

上記のブログで、2008年に大阪駅に掲示されていた完成予想図がアップされています。これによると、ホーム上の屋根は撤去されています。

透明な屋根であることを示す描き方ではなく、明らかに何もありません。ホーム屋根の支柱も見えません。

 

 

2011年

そして完成後の2011年5月、朝日新聞の報道に反論する形で先程のJR西日本社長からの会見が行われていました。

 

雨がホーム内に入ると認識があり、ガラス屋根を取り付けると発表したのもこの年の7月。

この時点でガラス屋根付きのイメージパースがアップされており、先程のイメージとは全く異なることがわかります。

これまで全くなかったホーム屋根の支柱も、この年のイメージパースから急に姿を表しています。

 

 

まとめ

こうして過去の資料を追っていくと、JR西日本側の『(端っこ以外のホームの屋根の撤去工事について)急きょ工事を見合わせた」ということではありません。』という主張には、やや無理があるように見えます。

2005・2008年まではホーム屋根・ホーム支柱について両方ともなかったのに、2011年になって復活していることからも、それが伺えます。

 

ただ、「ホーム屋根を取る予定だった」というのはJR西日本側の資料から明言されたものではなく、イメージ図としてそう描いていただけという主張も通る話ではあります。

 

 

結論がはっきりと出てなかったので、この話については引き続き調べていこうと思います。

読者の皆さんからも何か情報がありましたら、是非当サイトのTwitterまで御意見をお寄せ下さい。

 

 

参考文献

JR西日本「4月定例社長会見(4月20日 14:00~)」、平成17年(2005年)4月20日

JR西日本「5月定例社長会見」 、平成23年(2011年) 5月20日

JR西日本「大阪駅ホーム屋根に関わる工事計画などについて」、平成23年(2011年) 7月1日

朝日新聞「化けます大阪駅 ガラス張りの巨大屋根 改修大詰め」、2010年10月7日

朝日新聞「JR大阪駅、古い屋根外せず 新装大屋根、雨吹き込む」、2011年5月19日

 

関連リンク

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