近鉄奈良線は、現在大和西大寺~新大宮・奈良間において、国営公園である「平城宮跡」を横断しています。
7月16日の会見で、奈良県知事はこの近鉄奈良線4.4kmの区間を大宮通り地下へと迂回・移設させることを近鉄・奈良市・奈良県の3者で合意したと、NHKの報道がありました。
世界遺産の奈良市の平城宮跡を横切る形で通っている近鉄奈良線について、奈良県は遺跡の外へ移設する方向で、奈良市や近鉄と合意したことを明らかにしました。
今後は県が示した案をもとに、具体的な計画や事業費の負担割合などを協議することにしています。これは16日、奈良県の荒井知事が記者会見をして明らかにしました。
出典:NHK 奈良 NEWS WEB「近鉄奈良線 移設で合意」
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20200716/2050004845.html

奈良県としては景観への影響を低減したい意向であること、近鉄は地下化して3箇所ある踏切を減らしたい意向があるようです。ただし、近鉄はこれまで線路移設について費用負担はしないとの見解を示していました。
具体的な移設時期や費用負担については、今後協議していくとのことです。地下化工事なのでかなり時間がかかりそうですねぇ…。
【追記】地下化の他、高架化も含めて工事を行うようです。NHKの報道によると
・大和西大寺駅周辺は近鉄が7%負担して高架化
・大和西大寺駅~大宮通りまでは奈良市・奈良県が全額負担して高架化
・大宮通り~近鉄奈良駅までは当初報道通り一部を地下化
・工期は40年、総事業費2000億円
とのことです。
2つの新駅も
今回の報道で驚きなのが、地下化した路線には新駅を2つ作る構想があるという点です。
大和西大寺駅を出ると現在は新大宮駅が次の駅ですが、地下線化した奈良線では「朱雀大路(新設)」「新大宮(移設)」「油阪(新設)」と3つの新駅が作られるようです。
朱雀大路駅(すざくおおじ・仮称)は、国営平城宮跡歴史公園に隣接する駅で、復元された遣唐使船や朱雀門が立ち並ぶ日本の歴史においても重要な地です。1947-51年に進駐軍の利便性向上の為に設置されていた臨時駅「キャンプ・カー駅」の復活ともいえるでしょうか。
一方、油阪駅(あぶらさか)はJR奈良駅にほど近い立地で、1969年の奈良駅地下化工事で廃駅となった経緯があります。実現すれば、約50年超ぶりの復活となります。胸が熱くなってきました。
ただ、これはあくまで奈良県の要望であり、近鉄としては「全くの白紙」との事です。
この付近には平城山駅付近へのリニア駅設置構想、および京奈和自動車道の整備計画もあり、近鉄の平面線を地下へ移設することで、これらへの自動車アクセスの改善という奈良県の狙いも垣間見えます。
関連リンク
参考文献
NHK 奈良 NEWS WEB「近鉄奈良線 移設で合意」
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20200716/2050004845.html