「振り子気動車特急」として一時代を築いたJR四国2000系。山間部が多く、電化区間も少ない四国の地において、高速走行で自家用車と対抗できるように開発された車両です。世界初の気動車に振り子を載せた列車でした。
その2000系のプロトタイプにあたる「TSE」(Trans Shikoku Experimental)が、2018年3月17日に引退することが発表されました。
1989年の平成元年に登場し、平成が終わろうとする今年に引退……まさしく平成の世だけを駆け抜けた、鉄道史に残る偉大な車両といえるでしょう。
最終運用は…
定期列車における最終運用は次の通り。
・2018年3月17日 特急宇和海2号(宇和島5:33→松山6:58)
また、これ以後に臨時列車「『さよなら TSE』カウントダウン乗車ツアー」として、以下の列車も運行されるとのことです
第一弾:カウント 3 お別れ TSE!南予・予土線への旅
開催日:2018 年 6 月 1 日(金)
(1 泊 2 日/松山駅発・宇和島宿泊)第二弾:カウント 2 もうすぐお別れ TSE!高知・土讃線への旅
開催日:2018年6月15日(金)
(1 泊 2 日/高松駅発・高知宿泊)第三弾:カウント1 ほんとにお別れ TSE!多度津工場への旅
開催日:2018年7月3日(火)
(日帰り/高松駅発)出典:http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2018%2002%2026%2003.pdf
長らく宇和海として運行されてきましたが、かつては特急「南風」などにも充当されており、TSEとしては久しぶりの土讃線の地を踏むことになります。
気動車特急に革命をもたらした偉大な車両
1989年に富士重工業(スバル)で製造されました。内装面では先輩にあたるキハ185系を踏襲しつつ、従来気動車では動力伝達の面で難しいとされていた「振り子機構」を、エンジンを2つ並べて逆回転させるというウルトラCで実現しました。
現在のTSEは、松山~宇和島を走る「宇和海」として固定運用についています。
プロトタイプであることから、その姿形はまさしく2000系そのもの。2000系よりも色使いが落ち着いたもので、かつブラックフェイスであることから、スタイリッシュさが見えます。
こちらは貫通型車両。N2000系にまで続く形は、既に出来上がっていました。
TSEは、その後2000系を初め、智頭急行HOT7000系「スーパーはくと」やJR西日本キハ187系「スーパーまつかぜ」、JR北海道キハ281系「スーパー北斗」など、気動車+振り子+ステンレス車体の祖であり、平成時代の気動車特急をグレードアップさせた名列車であることはいうまでもありません。
約30年もの長い間、四国の地を駆け巡ったTSE。本当にお疲れ様でした。
関連リンク
http://blog.livedoor.jp/hanwa0724/archives/52201684.html