栃木県宇都宮市で現在建設が進んでいる、新しい鉄道路線の宇都宮ライトレール「ライトライン」
路線図やルート、どんな車両になるのか、車両基地…などなどの詳細について書いてみました。
宇都宮ライトレールの路線図・概要
宇都宮ライトレール(LRT)は、宇都宮駅から芳賀・高根沢工業団地までの14.6kmを結ぶ、新しいライトレール路線です。
開業は当初2022年春を予定していましたが、コロナウィルスや用地買収に遅れが出ていることから、1年延期した2023年春となりました。
宇都宮市と芳賀町が線路や駅施設の整備を、実際に電車を運行するのを宇都宮ライトレール株式会社が行う、上限分離方式を採用しています。
概要
全長 | 複線:14.6km |
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駅の数 | 19箇所 |
軌道区間 | 併用軌道(最高速度40km/h):9.4km 専用軌道(最高速度70km/h):5.1km |
運転時間帯 | 6時~23時 |
所要時間 | 約44分(快速の場合:約38分) |
最高速度 | 時速40キロメートル |
需要予測 | 1日当たり約16,300人(平日) |
運行間隔 | ラッシュ時:6分間隔 通常時:10分間隔 |
運賃 | 初乗り150円~最大400円(対距離制) |
運賃収受方法 | ワンマン運転(ICカード主体) |
車両 | HU300形 全17編成 |
車両定員 | 160名(着座50名) |
車体寸法 | 車体長:29.52m 車体幅:2,650mm 高さ:3,600mm |
運転時間は東北新幹線の営業にあわせた6~23時となっています。最終電車も、新幹線との接続が図られるものと見られます。
駅について
2021年4月23日に正式な駅名が決定されました。仮駅名から変更された箇所が多く、全19駅中17駅が変更の対象となっています。
駅構造については基本的に複線の2線ホームが設置されていますが、車両基地が隣接する平石駅、およびグリーンスタジアム前については2面4線のホームが確保されています。
駅名 | 駅構造 | 仮駅名 |
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宇都宮駅東口 | 1面2線島式ホーム | JR宇都宮駅東口 |
東宿郷 | 方面別2面2線ホーム | 宿郷町 |
駅東公園前 | 方面別2面2線ホーム | 東宿郷 |
峰 | 方面別2面2線ホーム | 今泉町 |
陽東3丁目 | 方面別2面2線ホーム | 陽東 |
宇都宮大学陽東キャンパス | 方面別2面2線ホーム | ベルモール前 |
平石 | 方面別2面4線ホーム | 平出町 |
平石中央小学校前 | 1面2線ホーム | 下平出 |
飛山城跡 | 1面2線ホーム | 下竹下 |
清陵高校前 | 1面2線ホーム | 作新学院北 |
清原地区市民センター前 | 1面2線ホーム | 清原管理センター前 |
グリーンスタジアム前 | 方面別2面4線ホーム | 清原工業団地北 |
ゆいの杜西 | 方面別2面2線ホーム | テクノポリス西 |
ゆいの杜中央 | 方面別2面2線ホーム | ゆいの杜中央 |
ゆいの杜東 | 方面別2面2線ホーム | テクノポリス東 |
芳賀台 | 方面別2面2線ホーム | 芳賀台 |
芳賀町工業団地管理センター前 | 1面2線ホーム | 管理センター前 |
かしの森公園前 | 1面2線ホーム | かしの森公園 |
芳賀・高根沢工業団地 | 1面2線ホーム | 本田技研北門 |
路線の名前
ライトラインという名前は、宇都宮市が雷の多い街であることが由来となっています。
投票によって48.8%を獲得し決定しました。
雷都+LINE(道筋・つながり)
「雷都」を冠した愛称。「LIGHT」はLRT(Light Rail Transit)の一部であることはもちろん、「光」「明るい」の意味もあり、「LINE」との組み合わせにより、「(未来への)光の道筋」といったメッセージも込められた愛称です。
アンケート結果 愛称案 主な意図 票数 ライトライン
(LIGHTLINE)雷都+LINE(道筋・つながり) 19,840票(48.8%)…最多得票 ウィライト
(WELIGHT)West(西)とEast(東)+雷都
We(私たち)+雷都3,653票(9.0%) ミライド
(MIRIDE)未来+雷(らい)+RIDE(乗る) 10,497票(25.8%) ミライトラン
(MILIGHTRUN)未来+雷都+RUN(走る) 6,678票(16.4%) 出典:宇都宮市『LRT車両の愛称が「ライトライン」に決定しました』
車両について
撮影:ヌㇷ゚カナイ様
新しく導入される車両は「HU300形」という形式名です。
Hは芳賀(Haga)を、Uは宇都宮(Utsunomiya)から採られたものです。
車両は、「ブレーメン形」と呼ばれる海外からの輸入車両で、日本では新潟トランシスがライセンス生産を行っており、既に熊本や富山の高岡市(万葉線)などで採用されています。
将来的なJR宇都宮駅西口への乗り入れを見越し、車両は急勾配にも対応可能な仕様となっています。
2022年現在の日本では、今回導入される「ブレーメン形」と国内生産の「リトルダンサー」がしのぎを削っており、それぞれにメリット・デメリットがあります。
リトルダンサーはこれまで路面電車が走っていた路線へ投入する電車としては最適なのですが、勾配の踏破力など取り立ててスペックが高いわけではないので、今回の宇都宮のように急勾配を多数抱える新規設計路線にはブレーメン形がうってつけと言えるでしょう。
車体は車体長29,520m、幅2.65m、高さ3.625mと国内の路面電車路線では最大級の車両。
線路幅は1,067mmで、JR線や東武鉄道への乗り入れも可能です。
車両については、以下から御覧ください
快速電車について
宇都宮ライトレールでは、路面電車として国内初となる快速運転が実施される予定です。
快速電車は朝・夕ラッシュのみ運行され、普通電車だと44分かかるのを38分で踏破するスピードとなります。
2面4線のホームを備える平石駅とグリーンスタジアム前駅に待避線を作り、快速列車が追い抜きます。尚、快速の停車駅は具体的に明らかにされていません
宇都宮ライトレールの延伸
現在は宇都宮駅東口までの建設ですが、将来的にはJR宇都宮駅を跨いで宇都宮駅西口から5つの駅を整備する計画があります。
JR駅を跨ぐとなると相当な勾配を上っていく必要がありますが、宇都宮市が示した資料(上図右側)によると、その勾配は6%…すなわち60パーミルにもなります。
これは、かの急勾配で有名な碓氷峠超えの「横軽」と同じ程度のものです。
車両の項でも書きましたが、この勾配をクリアすべく今回はそれに対応するブレーメン形が導入されています。
ということで、ざっくりとお伝えしてきた宇都宮ライトレール「ライトライン」!
開業の際には是非一度宇都宮市を訪れたいと思います!非常に楽しみです!
関連リンク
参考文献
- 宇都宮ライトレール株式会社
- 宇都宮市「JR宇都宮駅西口におけるLRTルートの構造について」
- 宇都宮市「優先整備区間平面図」