近畿日本鉄道、近鉄といえば特急電車。
名古屋・大阪・奈良・京都…と、主要都市のどこへ行っても特急電車を見かけますね。
しかし昼間、特に南大阪線を見ていると、2両の特急電車がガラガラで走っていることもあります。
「需要がないのなら車庫で寝かせておけばいいのに…」と思った方も少なくないでしょう。
私も結構そう考えていたんですが、これには近鉄なりの理由がありました。
赤字だけど
この話について書かれている本があります。
昼間の時間帯などであっても、乗務員などを極端に減らすことも出来ず、車庫の敷地などには固定資産税が掛かって、これらは固定費となってしまう。
それゆえ昼間は需要が少なくても、2両編成で特急を運行させ(略)、赤字ではあったとしても、少しでも固定費を賄う必要がある。経済学で言うところの、損益分岐点と操業停止点の間の状態で営業しているといえる。出典:堀内 重人『「しまかぜ」「青の交響曲(シンフォニー)」誕生の物語―魅力ある観光特急の開発をし続ける大手民間鉄道・近畿日本鉄道の挑戦!!』
そう、車庫で寝かせておいても、固定コストが結果的にかかってしまうのです。
流石に乗客がゼロではまずいですが、1人でも乗せている方がコスト的には「まだマシ」で、赤字ではある(損益分岐点よりも下)けども電車を止めるほど(操業停止点)ではないから動いている、というのが実態のようですね。
特に南大阪線特急では需要の波が激しく、朝ラッシュや桜のシーズンでは8連で満員御礼になるのに、それ以外の時間やシーズンについてはガラッガラになるなど乗客流動のギャップがすごいのです。
観光列車「青の交響曲」が3両編成なのも、1両をサービスカーとすると客室部分が2両で需要がちょうどいいからという背景があります。
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