1970年代の構想から、長らく塩漬け状態になっている四国新幹線。
事業者は明らかになっていませんが、恐らくは四国旅客鉄道(JR四国)が担当するものと思われます。九州新幹線のようにJR西日本へと直通するとすれば、車両は山陽新幹線にあわせたものとなるでしょうか。
今回、遅々として進まない四国新幹線の開業に向け、経営者の団体である「香川経済同友会」が香川県の浜田知事に具体的なプランを持って提言しました。
それがなかなか興味深いものでしたのでご紹介します。
①高松駅に併設案
プラン1は、現在の高松駅に併設する案。ちょうど琴電の高松築港駅高架化予定であった場所(現在のバスターミナル)に設置するものです。
徳島方面への延伸を果たすために、既存駅よりもまっすぐ東向きに設置。
元々の高架化プランであった高松築港駅もこれにあわせて新幹線と同じ場所にホームを設置する構想です。
②栗林駅設置案
2つめのプランは、1970年に構想された当時のプラン。特急「うずしお」も停車する高徳線の栗林(りつりん)駅を新幹線駅とし、高徳線と並行して徳島方面への新線を設置する案です。
イメージ図右手に見える琴電琴平線が南北方向にクロスしており、ここにも駅を設置する構想です。(余談ですが、現在は何故か駅が設置されていません)
栗林駅周辺は文教地区・住宅地区ですが、新幹線駅の設置で一気にその性格が変わりそうですね。
③伏石駅設置案
3つ目のプランは、2020年に新しく開業した伏石(ふせいし)駅に新幹線駅を設置するプラン。高松自動車道の上に並行して整備します。
こちらは既存のJR駅との接続はなく、私鉄(琴電)のみがアクセス路線となるアクセス性の悪さはありますが、何より高速道路の上に設置するので用地買収が容易であることがメリットになります。
近隣は住宅地が多く、ゆめタウン高松など大きなSCも整備されています。
④高松空港案
最後は高松空港そのものに設置する案。直接新幹線が乗入れ、高松空港のハブ機能を強化する計画です。
ただし、この案では高松市内とかなり距離(15km)があることから鉄道整備が不可欠となり、計画案では琴平線仏生山から分岐する専用の空港連絡鉄道などを挙げています。
共通事項
今回のイメージ図を見ていると、車両は九州新幹線長崎ルートと同じ6両編成を想定しているようですね。
岡山から乗り入れ新大阪を終点にするとなると、新大阪~岡山間の線路容量が不足することも見込まれますので、運用では九州新幹線と連結して新大阪まで向かうようなことも起きるんでしょうか。
四国新幹線とは
四国新幹線は、岡山から瀬戸大橋を渡って四国4県を結ぶ構想プランです。JR各社の中でも唯一JR四国のみ新幹線が整備されていない状態で、この提言は以前からなされてきました。
しかし、1973年に基本計画が決定して以降、長らく具体的な動きがありません。
既に全国的に新幹線の整備は進んでおり、同時期に提言された北海道新幹線・北陸新幹線・九州新幹線はそのいずれもが開業。しかし、四国新幹線だけは全く手つかずのままです。
JR四国は2000系気動車など高速化を重視した特急電車を投入してはいるものの、自家用車やバスとあまり時間的な差がつかず苦戦しており収入が減少しており、四国新幹線・もしくは高速鉄道の導入を要望しています。
四国新幹線には2つの区間があります。1つ目は大阪から海底トンネルを抜けて淡路島・徳島を経由、高松・松山を経由しつつ大分県までを貫くルート。
もう一つは「四国横断新幹線」と呼ばれるもので、岡山から伊予三島を抜けて高知へ抜けるルートです。
尚、徳島の鳴門大橋も新幹線が通るスペースがあると言われていますが、実質的には単線部分しか導入スペースがありません。
また、明石海峡大橋に至っては鉄道そのものが入れない状態であることから、トンネルを掘らない四国入りルートは、瀬戸大橋経由になるものと見られます。
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