EF200形の知られざる4つのエピソード

EF200形の知られざる4つのエピソード

当サイトでも何度か紹介しているEF200形。

日本最強のパワーを持ちながらも今ひとつ性能を発揮しきれずに引退していった悲運の機関車であることは、以前ご紹介しましたね。

あれからもちょこちょこEF200形関係の文献を読んでいるのですが、「これは知られてないだろうなぁ」と思うエピソードをいくつか発見したのでこちらで記事にしてみました。

 

①HMを光らせる為にコンセントがある

貨物列車は、総じて線路に空きが出る夜間走行が多いのが特徴です。

 

例えば、大阪~東京を結ぶ「スーパーレールカーゴ」M250系も、大阪を出るのは夜の22時頃。到着するのも朝方5時頃で、東海道線内は殆ど夜間を走っています。

そこで、特急貨物列車を担うEF200形に「夜間目立つよう光るヘッドマークを取り付けたい」という要望があったことから、EF200-901号車にはそれ用のコンセントを前頭部に用意したそうです。

…使われたことってあったんでしょうか

 

 

②JRで初のシングルアームパンタ

EF200型は、JR車両において初めてシングルアームパンタグラフを採用した車両です。

ちなみに日本の車両では2番目の採用で、1番最初は大阪市営地下鉄の70系車両でした。

 

EF200ではそのパワーを発揮するために大容量のVVVFなど電装品がかなり詰め込まれ、車体のスペースにあまり余裕がありませんでした。

そこで、「既に海外で実用化されているシングルアームパンタをEF200に載せよう!」ということになり、採用されました。

 

 

ちなみに、シングルアームパンタ採用にあたってはこんな懸念もあったそうです。

走行方向に対し非対称のため, 走行風圧の影響で, 高速域では, 押上力が走行方向で変化するのではないか 

出典:山口 博史『EF200形式直流電気機関車 設計当時を振り返って』、鉄道車両と技術 No.264

 

この不安に対し、日立製作所はなんと航空機メーカーの設備を借りて風洞試験まで行って大丈夫なことをアピール。JR側の不安を払拭しました。

現在鉄道車両においてシングルアームパンタは主流となり、関東方面では特に採用数が伸びています。

 

 

③ED500が先輩

実は日立製作所は、JR貨物の発注前からED500形」の試作を始めていました。この当時の仮称は「ED-X」といったそうです。

JR貨物から正式に発注があった際、このED-Xで培われた技術をEF200形に活用することとし、1年後の1990年にはスピード完成したのでした。

登場順としてはEF200→ED500ですが、設計順としてはED500→EF200で、ED500形が先輩ということになります。

このED500型は日立製作所で落成後JR貨物に貸し出され試運転を継続していましたが、重量が軽く満足に貨物コンテナを引っ張れない(空転する)ことから、1994年頃に試験を中止して日立製作所へと返還されたのでした。

 

 

④床から見た図面も用意された

EF200形は、これまでの機関車とは違った高いデザイン性が評価され、1992年のグッドデザイン賞を受賞しました。

そのグッドデザイン賞へ応募する際に「製品全ての方向から見た図面」が必要という要件が書かれていました。

そこで、通常用意される「前・後ろ・側面・上側」の図面の他に下側(線路側)から見た図面も描かれたのだそうです。

日立製作所の方曰く、「(下側からの図面なんて)初めて作った」と当時を述懐しています。

 

 

おわりに

EF200形にまつわる様々なエピソード、いかがでしたでしょうか。

私もまさかEF66やEF81形よりも早く引退してしまうなんて夢にも思わず、撮影している写真が少ないのが痛いところです。

既に日立製作所の保存機しか見る機会がありませんが、公開時にはぜひとも足を運んで噂の「コンセントの所在」を見てみたいものです。笑

 

 

関連リンク

「変電所キラー」と呼ばれた機関車がいた【電車の雑学研究所 #06】

 

参考文献

山口 博史(日立製作所技師)『EF200形式直流電気機関車 設計当時を振り返って』、鉄道車両と技術 No.264

 

 

 

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