かつて小売業の王者だった、ダイエー。
現在はその辺にある1スーパーとして認識される方も増えてきていますが、かつては百貨店を抜いて売上高において小売業のNo.1を獲得し、頂点に立った偉大な企業です。
今で言うなら、イオン・ライフ・イトーヨーカドーなどと肩を並べて……
いや、この3社をも圧倒的に凌駕するような、そんな企業でした。
創業者の中内 功(なかうち・いさお)氏は、「良い品を どんどん安く」をスローガンに猪突猛進でダイエーグループを広げていき、従業員6万人・売上高3兆円を達成。
小売業以外にもクレジットカード「OMCカード」、野球球団「福岡ダイエーホークス」、コンビニ「ローソン」、ステーキの「フォルクス」、ファッションビル「OPA」など、現在にも残るサービスを展開していました。
当時のダイエーってすごい勢いの会社で、今にも残る有名な企業はダイエー発祥が多いのです
例えば、ローソンはダイエーが創業したコンビニですし、心斎橋や河原町にあるOPAもダイエー、ウェンディーズや先程のドムドムバーガーは有名ですねw— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) November 22, 2017
栄枯盛衰。そんなダイエーが、何故今ここまで落ち込んでしまったのか…。
私はそんなダイエーの歴史に触れるため、創業者である中内功氏の記念館に足を運んできました。
記念館までの道のり
中内功記念館は、神戸の山手に位置する「流通科学大学」の一角に設けられています。
中内氏の生家で、神戸市兵庫区にあった「サカエ薬局」の建物を、わざわざここへ移築したのだそうです。
記念館は、そんなサカエ薬局の地下部分に位置しています。
館内の様子
館内に入ると、まずは中内功氏の生涯を簡単に説明するビデオを見るところから始まります。
ビデオ鑑賞室の横には、中内功氏の年表がずらーっと並んでいました。
「何この手は…?」と思ったら、中内功氏の手なのだそうです。私も握手してきました(笑)
あのピーター・ドラッガー氏との写真!
有名な「ダイエー・松下戦争」のパネル。
一方こちらは「農林省との闘い」と称されたパネル。
当時、牛肉(並)は100g60円だったが、直営で「神戸=コウベビーフ」として39円で売り出した(中略)
オーストラリアやニュージーランド産の子牛を沖縄で6か月間育て、本土へ再輸入すれば関税がかかならないことに着目した。これに対して、農林省から「流通経済の混乱を招く」と批判された。
しかし、一歩も引くことなく関西主婦連合会の会長と一緒に上京して講義したこともある。
こちらの牛肉の件は知らなかったなぁ。
「ネアカ(根明) のびのび へこたれず」というのは、中内氏が好んで使った座右の銘です。
意外にも、流通科学大学では教授として学生に教鞭を執りました。厳しい経営者という印象だったのでこの写真は意外な姿でした。
この他「中内ゼミ」を主宰し、学生と共にかつて戦闘地として赴いた中国東北部やルート66へと行ったこともあったそう。
この他、ダイエーが作り出した様々なプライベートブランドを展示。
そもそも「プライベートブランド」というのはダイエーが大丸と共に作り出したもので、1960年に「ダイエーみかん」を売り出したのが始まりなんです。
福岡ダイエーホークス時代の「ハリーホークくん」のぬいぐるみ。小売業としてのダイエーだけでなく、ホークスの展示品も数多くありました。
1999年、福岡ダイエーホークスが優勝した際の記念ボトル。中内功オーナーと共に王監督のラベリングがなされています。
ダイエー資料館
また、流通科学大学内には中内功記念館の他に「ダイエー資料館」もあります。
館内は黒基調のデザインでまとめられ、創業当初のネオンサインも飾られていました。
「キャプテン・クック!!キャプテン・クックじゃないか!!!」
キャプテン・クックは、セービングに続くダイエーのプライベートブランドです。
いかがでしたでしょうか。
ざーっと簡単にご紹介しましたが、まだまだ中内功記念館には興味深い展示がたくさんありました。今回は時間的都合でゆっくりと見れなかったのですが、また日を改めて訪れたいと思います。
閲覧にあたっての注意
展示館は予約制です。コロナウイルスの影響で、現在は11-15時のみ閲覧を受け付けています。
場所は神戸市営地下鉄西神山手線の学園都市駅から徒歩10分程度の場所。先述しましたが、流通科学大学の中(西側)に位置しています。
ダイエーの跡
ダイエーは、現在でも様々な場所に姿を残しています。
新神戸オリエンタルシティ
新神戸駅の前にある大きなビルは、ダイエーが設立した37階建ての商業ビルです。
当初「オリエンタルパークアベニュー」として開業。ファッションビル「OPA」の名前はここから取られています。
千林商店街
京阪千林駅を降りて目の前にある「オーエスドラッグ」は、かつての1号店「主婦の店 ダイエー薬局」があった場所です。
ダイエー関係ギャラリー
その他、ダイエー関係の写真を並べてみました。