その日、私は北大阪急行の延伸区間である箕面萱野駅の取材に訪れていました。
ちょうど携帯を見ていたその時、「能勢電鉄のリバイバル列車が引退する」との報を見て、場所的に近いこともあり少し能勢電鉄沿線まで立ち寄ってきました。
能勢電鉄とは
能勢電鉄は、阪急宝塚線の川西能勢口からひょっこり分岐している小さい私鉄です。
阪急電車とあまり代わり映えのしない栗色の電車が走っているのですが、元々はもう少し独自性のある色の電車が走っていました。
現在は期間限定でその独自性のある色時代の電車が復刻していますが、今年中、おそらく夏頃には見納めになります。
この電車は2両編成で、能勢電鉄でも更に奥地にある支線的な立ち位置の路線で活躍しています。
最奥地へ
ということで、妙見口駅にやってきました。
妙見口駅は大阪府で最も北に位置する駅です。
ちなみに、大阪府における東西南北端っこの駅は以下の駅になります。
・北…妙見口駅(この駅)
・南…南海電鉄 孝子駅
・西…南海電鉄 多奈川駅
・東…JR西日本 長尾駅
路線の大半を兵庫県内で走る能勢電鉄ですが、実は妙見口側の3駅のみは大阪府の所属。
「能勢」という名前も大阪府にある能勢妙見山から来ているもので、能勢電鉄はここへ参拝する為に作られました。
駅名標は2014年に刷新された、緑を基調としたもの。それまでは阪急電車のようなデザインでした。
駅周辺は単線。妙見口駅など一部駅は複線ですが、山下~妙見口間は基本的に単線路線です。
山下で日生中央方面の日生線と分岐するので本線は一応こちら側なのですが、2023年現在は山下~妙見口間で折り返す支線的な系統となっています。
復刻塗装その①。昔走った50形という形式をモチーフにしています。
4駅の単線を10分サイクルで回すってなかなか大変なようで、駅到着後すぐに運転士さんが反対の運転台へ駆けておられました。
復刻塗装②。こちらは1500形をモチーフとしたカラーリングです。
この日は運良く、2種類の復刻塗装車両で回していたようで、消滅するどちらともに出会えました。
驚くのは、いかにもローカル線っぽいこの区間で10分ごとに電車が走っている点です。阪和線より多い…
というのも、妙見口駅自体はかなりローカルですが、その隣のときわ台駅からはバリバリのベッドタウンになっていて、乗降客数がかなりあります。
その隣の光風台駅に至ってはかなり近代的な駅で、今回の乗車時でも最も乗客が降りていきました。
【参考】能勢電鉄妙見口~山下間の乗降客数(2020年)
妙見口…712
ときわ台…1,907
光風台…2,750
笹部…61
山下…3,311
データで見ても、それが如実に現れていますね。
つまりローカルな山岳路線というより、ベッドタウンと都心を結ぶ通勤路線な性格なのです。
もう一つの路線:妙見ケーブル
能勢電鉄には、実はもう一つ鉄道…じゃない、軌道路線があります。
それがこの「妙見の森ケーブル」で、黒川駅からケーブル山上駅までを結んでいます。
麓の駅となる黒川駅は妙見口駅が最寄りにはなるのですが、駅からはかなり距離があり、徒歩でいくのはかなりしんどめです。
元々は黒川~妙見口間を接続する路線も考えられていたようですが資金難で頓挫し、それ以降は音沙汰がありません。
初見でまっすぐ急勾配を上がっていく風景に圧倒されました。いや~映えですね~
ケーブル輸送を担当する1号車。
実はこのケーブルカーは全国でも珍しい標準軌のケーブルカーで、日本では他に静岡の「十国峠十国鋼索線」のみとなっています。
残念ながらこの日はもう終電が終わった後で、中にまでは入れませんでした…
ちなみに
分岐点となる山下駅には、梅田から来た阪急電車が8両編成で「特急日生エクスプレス」として能勢電鉄へ直通してきます。
短くのんびりな能勢電鉄の電車に見慣れてる中で、こんなピッカピカの長編成の阪急電車が入ってきたら、そりゃ阪急好きにもなるだろうなぁ…と思わせる一件でした。
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