こちらのブログ記事「スーパーはくとが姫路折返しになったら「大阪ひだ」にも影響する？」が大変面白く、
特に
「電車」と「気動車」では免許が異なります。つまり、新快速（電車）の運転士が、スーパーはくと（気動車）を運転することはできません。
別の言い方をすると、スーパーはくと（一日７往復・現在はコロナ禍により６往復）のために、京都エリアに気動車免許持ちの運転士をわざわざ配備しないといけないわけ。
これはやはり、運用面や管理面で非効率的でしょう。飲食店に例えると、あまり品数が出ない料理に対して、専属の料理人を雇っているようなものです。
出典：https://blog.kys-honpo.com/entry/hakuto-himejiorikaeshi-osakahida 1)
太字部分の表現の仕方がとてもわかりやすく、私も見習わないとな…と痛感しました
このユニークで面白い記事を是非皆さんに見ていただきたくて、自分のツイートでも紹介したところ…
＞飲食店に例えると、あまり品数が出ない料理に対して、専属の料理人を雇っているようなもの
わかりやすい
ただ、HC85って電車免許扱いみたいな話ありませんでしたっけスーパーはくとが姫路折返しになったら「大阪ひだ」にも影響する？ https://t.co/2TSC7iVnGd
— Osaka-Subway.com/鉄道プレス (@OsakaSubwaycom) July 13, 2022
フォロワーさんから、
HC85系は電車免許でも補講で運転できるはずです！
というご意見を頂いたので、今日はこの方の記事に追記する形で少し調べてみました。
HC85系には気動車免許が必要？
結論から言うと、電車の免許でハイブリッド車を運転する場合でも、免許の取り直しは必要なさそうでした。
東洋経済新報社がJR東海へ取材し、以下の回答を得たとされています。
JR東海東京広報室に問い合わせると「甲種電気車運転免許所持者、甲種内燃車運転免許所持者とも、それぞれ免許の種類に応じた知識ならびに技能の教育訓練を実施することで運転操縦が可能になる」（中略）
したがって、HC85系を運転するためには、甲種電気車運転免許・甲種内燃車運転免許のどちらか片方を持っていればよく、「ハイブリッド車両の運転のために、もう片方の免許を取得させることはありません」（JR東海）とのことだ。
出典：東洋経済新報社 2)
HC85系のようなハイブリッド車両においてはその補講のみで取り扱いが可能である…とのことでした。
ハイブリッド車両の通達
また、HC85系以外においても近年様々な種類が出てきているハイブリッド車両の取り扱いについては、国土交通省から通達がありました。
ハイブリッド車両の免許条件については、2016年に国土交通省や運輸局から鉄道事業者に対して文書で通知があったという。
JR東日本広報部に同様の質問をすると、「内燃機関を用いて発電機を回転させることにより発生した電気で電動機を駆動させる方式の車両」、つまりハイブリッド車や電気式気動車は「電気車および内燃車に含まれる」という通達が出されているとのことだ。したがって、やはりどちらか片方の免許でよいということになる。
出典：東洋経済新報社 3)
原文は以下の通り。
甲種電気車運転免許の欄に規定する電気車及び甲種内燃車運転尭許の欄に規定する内燃車に、鉄道事業法施行規則第20条の車種による区分に関わらず、それぞれ「内燃機関を用いて発電機を回転させることにより発生した電気で電動機を駆動させる方式の車両」を含むものとして取り扱う。
出典：国土交通省 鉄道局長「動力車操縦者運転免許に関する省令の事務取扱いについて」の一部改正について、平成28年6月17日 （国鉄安第18号）
動力車操縦者運転免許に関する省令事務取扱方第5項について
(1) 動力車の種類と教育訓練
事業者は、電気車又は内燃車を操縦する運転免許を保有する者に、内燃機関を用いて発電機を回転させることにより発生した電気で電動機を駆動させる方式の車両を操縦させる場合には、それぞれの運転免許の種類に応じて、予め操縦に必要な当該車両の構造及び機能に関する知識並びに技能の教育訓練をそれぞれ必要な時間数等を実施要領等に定めて行った上で、これらの知識及び技能を保有していることを確かめること。出典：国土交通省 鉄道局安全監理官「動力車操縦者運転免許に関する省令の事務取扱い方の運用等について」の一部改正について、平成28年6月17日 （国鉄安第19号）
つまり、西日本圏で姿を見せつつあるDEC700形やDEC741形もどちらかの免許で良く、先日おおさか東線へ試運転にやってきていた時も、通常のおおさか東線運転士が担当していたことになります。
これならHC85系が大阪に乗り入れる際でも、スムーズに入線出来そうですね。
ちなみに、ディーゼルエンジンを回さずに集電機から電源をとって電車として動かす場合には、電車の免許が必要になる…という一文も書かれています。
なお、当該車両において、集電装置を用いることにより、内燃機関を用いずに電動機を駆動する方式で運行する場合は電気車として取り扱うので、電気車の運転免許保有者が操縦することが必要となる
出典：国土交通省 鉄道局安全監理官「動力車操縦者運転免許に関する省令の事務取扱い方の運用等について」の一部改正について、平成28年6月17日 （国鉄安第19号）
正直、私もハイブリッド車両における免許の兼ね合いについては勘違いしていたので、学び直す良い機会でした。
関連リンク
参考文献
- 現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報「スーパーはくとが姫路折返しになったら「大阪ひだ」にも影響する？」
- 東洋経済新報社「｢ハイブリッド列車｣運転免許は電車か気動車か」
- 東洋経済新報社「｢ハイブリッド列車｣運転免許は電車か気動車か」
