京都市交通局は、2018年12月13日に行われた『第5回「地下鉄烏丸線車両の新造にかかるデザイン懇談会」』の中で発表した、烏丸線用新型車両のコンセプトデザインを2019年1月25日にWeb上で公開しました。
京都市営地下鉄烏丸線は1981年の開業以来、10系車両が継続して使用されており、2021年には車両の入れ替え時期とされる経年40年を迎えようとしています。
デザインコンセプトは「みんなにやさしい地下鉄に」「京都ならではの地下鉄に」「愛着がわく地下鉄に」を掲げ、これをもとに3つのコンセプト案を作り上げています。
イメージA(テーマ:現在)
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai4kai.sankou3.pdf >、2019年2月7日閲覧
A案は、烏丸線の車両造形に東西線車両のブラックフェイスを取り入れ、近代的なデザインにまとめたイメージ。
1997年竣工の東西線50系車両は、烏丸線10系車両よりも設計年次が新しいこともあり、近代的なスタイルを確立しています。まさか東西線車両からもデザインのインスピレーションを得るとは…
イメージB(テーマ:未来)
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai4kai.sankou3.pdf >、2019年2月7日閲覧
Aをもとに、曲面を多く取り入れて近未来的な印象を持つB案。どことなく西武鉄道や東京メトロ16000系のような趣きを感じます。
イメージC(テーマ:過去)
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai4kai.sankou3.pdf >、2019年2月7日閲覧
C案は、かつて京都で活躍した京都市電を意識した、丸目3灯を左右に配置したレトロなイメージとなっています。
追記
今回ご紹介したデザインは第4回時のもので、その後修正された第5回案も紹介されています。
特に修正されたのが10系車両にも採用されている「だらり帯の有無」で、この点については以下のような意見があったようです。
(だらり帯が必要という御意見)
・入線時を考えると真っ黒よりもだらり帯があった方がよいのでは。
・模様があれば入線して来た時にオッと思う。模様は前面だけでドアは不要。(中略)SNSに短い動画を上げることがあるが、その場合は入線時の動画となる。(だらり帯が必要でないという御意見)
・だらり帯はブラックアウトには似合わない
・舞妓の一部を切り取って「だらり帯」としてもそれが「京都らしさ」と言えるのか。出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai5kai.2.pdf >、2019年2月7日閲覧
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai5kai.2.pdf >、2019年2月7日閲覧
この意見を受け、B・C案からは「だらり帯」を削除。B案については、前が黒すぎる印象からスカートの色を銀色へ。また標識灯の位置を視認性を考慮して変更しています。
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai5kai.2.pdf >、2019年2月7日閲覧
C案については市電をモチーフにしながらも新しさを表現するため、前面の造形・窓ガラスの丸みをより強調したデザインへ修正。またスカートを緑色に変更し、新しい車両のイメージを表現しています。
出典:京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」< http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai5kai.2.pdf >、2019年2月7日閲覧
A案では「だらり帯」を残したデザインとなっています。現行の烏丸線10系車両のイメージを踏襲するため、ヘッドライトの位置を上側に変更し、新しさを表現するために四角形へのライトへと変更。またブラックフェイス部分の濃度を淡めに調整しています。
おわりに
ほぼ同世代となる神戸市でも、6000形の運用開始がまもなく始まろうとしています。同じ近畿圏にある緑色の地下鉄ですが、どちらも新車の就役が楽しみですね。
※尚、これらはあくまでコンセプトデザインであり、正式に決定したものではありません
ちなみに以前ご紹介しましたが、この車両のデザインを請け負うのは入札で決まった総合車両製作所で、なんと1円で落札しています。
参考資料
京都市「新型車両の外観デザイン案(検討用)」
http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/cmsfiles/contents/0000246/246377/dai4kai.sankou3.pdf
京都市「第5回「地下鉄烏丸線車両の新造にかかるデザイン懇談会」について」
http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/shingikai_kekka/kotsu/0000246377.html