京都の平安神宮神苑に、「日本最古の電車」が眠っているのをご存知でしょうか。
明治28年1月31日、大阪や東京よりも早く事業として電車を導入したのが、京都でした。
形式名という概念がない
日本最古の電車とは、京都電気鉄道(京都市電の前身)の電車です。
京都市が買収してから「N1形」という形式が付与されていますが、導入当初はそもそも形式名という概念がなかったようです。
保存されているものには「2」と刻印があることから強いて言うなら「N1形」の2号車とでもいうべきでしょうか。
現地には、このような立て札もあります。
日本最古の電車
この電車は、明治二十八年一月三十一日に日本最初の交通輸送業電車として、京都電気鉄道が運行したものである。(中略)
ここに展示している電車は、当初のものであり、平安神宮創建とも深い関係があることから京都市より払い下げを受け、記念として保存している。
車体は梅鉢鉄工所の製作、電動機はアメリカゼネラルエレクトリック社の製品である。
昭和三十一年頃、神戸製鉄株式会社によって修理が施された。
梅鉢鉄工所とは、今の総合車両製作所(J-TREC)のこと。
元々堺市鳳に本社を置く「帝國車輛工業」という名前でしたが、1968年に東急車輛と合併した後、総合車両製作所へと企業名が変化しています。
何故電車が平安神宮に保存されているのかですが、これは平安遷都1100年記念事業や、岡崎で開催された内国博覧会の輸送用に路面電車を計画した縁からだそうです。
平安神宮は、平安京時代の大内裏を復元したものです。意外ですが、平安神宮は路面電車と同じ年代である明治に入ってから生まれたのですね。
先日お伝えした、岡崎公園にある1861型が僅か5年で移設されてしまったのとは対照的ですね。
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