かつてあった鉄道模型販売店「東京堂」とは？

「東京堂」という鉄道模型販売店があったことをご存知でしょうか。

現在「ポポンデッタ」がかつて勢いのあった東京堂と同じ立ち位置になり、また東京堂と同様に模型製品の販売遅れが目立ってきていることから、同じファブレスメーカー同士比較の意味もあって近年再び注目されることが多くなりました。

ただ、意外とその情報が少ない。

私も少しだけ行ったことがある程度で、はっきりどんなところだったかが思い出せないのです。

今日は私も東京堂の歴史を思い出すべく、残された様々な資料から東京堂を追いかけてみたいと思います。

会社概要

法人としての正式名は「有限会社東京堂」。本店は東京都品川区中延二丁目15-8にありました。

設立日は平成12年1月12日となっていますが、平成7年（1995年）から個人事業として既に創業していたようです。

商号：有限会社東京堂
代表取締役：荻原 正美
資本金：2500万円
本店：東京都品川区中延二丁目15-8（野村ビル4F）
会社成立の年月日：平成12年1月12日
目的：
１　鉄道模型、玩具類の企画、製造、販売
２　書籍、一般日用品雑貨の販売
３　古物の売買
４　前各号に付帯する一切の事業

売上高：
1億1500万円（2007年6月期見込）
1億500万円（2006年6月期実績）
9500万円（2005年6月期実績）

【公式サイト】
T.M.ステーション秋葉原
有限会社東京堂

参考文献：「有限会社東京堂」法人登記簿、エン転職「有限会社東京堂の店舗スタッフ（店長候補）（101165）」

2007年6月期の見込みでは売上高1.15億円まで業績を拡大していましたが、「2009年9月頃に経営破綻した」とされています。

但し客観的に「倒産した」という資料があるわけではなく、いきなり店舗が閉鎖されていた…いわゆる夜逃げ状態であったという状態から推測されるものです。

というのも、本来会社が消滅する場合には「閉鎖登記」という会社が終了した記録を残すのですが、有限会社東京堂に関しては閉鎖登記簿が見当たっていない為です。

秋葉原店には…

こちらの記事内には秋葉原店の玄関口の写真が掲載されており、

「誠に申し訳ございませんが本日臨時休業到します。ご理解をよろしくお願いします。」
「責任取れアホ！」
「倒産したんだろ！きちんと説明しろ！！」

との貼り紙が掲示されています。

また、ホビスタ尼崎店では夏前ぐらいから「現金前払いで予約すると30%引きで提供」というセールを実施していたそう。

当座の現金が枯渇し、資金繰りにかなり無理が生じていたことを思わせる内容です。

事業内容

写真は、かつてTMステーション日本橋が存在したビルです。

中古鉄道模型販売からスタートした東京堂は、90年代後半から鉄道模型の自社製造も行っていました。

ハンドメイドアクセサリーでも使われる「レジン」と呼ばれる化学樹脂を用いた鉄道模型製造がヒット。レジンは少数ロットでマイナーな製品展開が出来ることから、人気を集めて業績を拡大していきました。

関西では特に、尼崎潮江にあった「ホビスタ」の運営で知られていました。

トイザらスの跡地に作られたこの施設は西日本最大級の鉄道模型ジオラマを備えた場所でした。

ホビスタ尼崎は東京堂の（実質）倒産状態後も運営が続けられてきましたが、2013年に閉店しています。

バー銀座パノラマは…

ちなみに、ホビスタ内にて運営していた「バー銀座パノラマ」は、東京堂とは別の会社だったようで、法人登記簿を見ると「パノラマ株式会社」という別の法人が運営していたとあります。

この企業は銀座でも同じく「バー銀座パノラマ」を運営していた企業ですが、2016年に店舗施設をポポンデッタへ渡して廃業。

引き継いだポポンデッタは名前を「バー銀座シュッシュッポポン」と改めて2020年現在も営業しています。

各施設の場所

情報提供…げじこ様

関連リンク

ポポンデッタ製の鉄道模型、また延期。

参考文献

私のNゲージ考古学『東京堂モデルカンパニーの興亡』

ねとらぼ『銀座に鉄道エンタメバーがオープン！　その名も「バー銀座シュッシュッポポン」』

ホテル求人ドットコム『バー銀座パノラマ』

法人登記簿各種『有限会社東京堂』『パノラマ株式会社』