小田急電鉄は、今後運行される試運転電車について、方向幕・行先表示器の設定を「回送」等に変更するとWebサイトにて告知しています。
撮り鉄にとって「試運転」の表示は価値があるものですが、その撮影の為に無理な撮影や迷惑行為を行っていることへの対策と説明しています。
試運転表示はなくなる?
詳細な文章は以下の通り。
試運転列車(中略)の運用や行路などに関するお問い合わせにつきまして、以前は、写真撮影をされるお客様のために極力ご案内するように努めておりましたが、その数が膨大となり、業務や安全運行面に支障をきたすことや、当日の運行状況などから、急遽、行路の変更や中止などもあるため、現在は、イベント列車の行路も含め公表いたしておりません。
また、試運転列車では、全面や側面の行先表示に「試運転」を掲出いたしておりましたが、試運転と表示された列車を撮影するため線路や民家敷地内に侵入して無理な撮影行為やホーム上で他のお客様のご利用を妨げるような撮影行為を行うなど危険な行為が頻発したため、事故防止のために対策を講じる必要がございました。そのため現在は行先表示を「回送」等として運行させていただいております。出典:1)
なんというか、ついに事業者として対応を採るところが出てきたなという印象です。
確かに「回送」表示は通常よく見るもので希少性はそこまでないですから、このような措置を行う理由もわかります。
これで効果があれば、今後各社へ波及していくかもしれませんねぇ…。
「試運転」の希少性について
この辺の事情についてよくわからない方もいらっしゃると思うので、もう少し掘り下げて解説しますね。
試運転は読んで字のごとく、検査が完了しその慣らし運転として行うテストランのことを指します。
大まかには新車落成時の他、4年に1度行われる定期検査(車でいう車検のようなもの)後に試運転が行われます。
「試運転」の方向幕や行き先表示を出すのはこの機会だけ、いわば4年に1度程度しか無いので、非常に希少性があり、その良いカットを求めて撮り鉄が集まるのです。
今回の小田急の措置は、この撮り鉄心理を認識しているからこと出来たことと言えます。
とはいえ試運転は1編成づつ行うので、多数の車両を抱えている鉄道事業者では毎月何かしらの試運転を行っています。
先ほど上げたのは南海12000系ですが、その1ヶ月前には別形式の南海8000系(上記写真)が試運転を行っており、日程があえば他社とのかけもち撮影も可能な程です。
関連リンク
参考文献
- 小田急電鉄「試運転列車について」
- むさっしーさんのポスト