宮崎県沖での地震により、南海トラフ地震のリスクが上がったとして気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。
この動きを受けて、JR東海がサンライズ瀬戸・出雲を運休させたことに驚きや困惑の反応が多かったですが、どうもこれには過去に根拠となる条文があり、それに則った行動であったようです。
自動的な対応?
山梨県が掲載している「南海トラフ地震に関する事前対策計画」という資料の中に、以下のような記載がみられます。
(1) 東海地震注意情報が発表された場合
ア 東日本旅客鉄道株式会社
警戒宣言が発せられたときの列車の輸送手配を円滑に行い、かつ、運転規制によるお客さまへの影響を少なくするため、次の各号に掲げるところにより、あらかじめ列車の運転規制手配を行う。
(ア) 注意情報が発表されたときは、強化地域内を運転中又は強化地域内へ進入する予定の貨物列車等については、警戒宣言が発せられたときに旅客列車の運転規制等に支障がないように、原則として最寄りの貨物駅等に抑止を行う。ただし、強化地域外への進出が可能と判断される場合には運転を継続する。
(イ) 注意情報が発表されたときは、強化地域内を旅行目的地としないお客さまを主として輸送する列車(夜行寝台列車等)については、原則として強化地域内への入り込みを規制する(中略)イ 東海旅客鉄道株式会社
(ア) 列車の運行規制等
旅客列車については、運行を継続する。但し、長距離夜行列車については、強化地域への進入を禁止する。
(イ) 旅客等に対する対応
東海地震注意情報が発表されたとき及び政府から準備行動等を行う旨の公表があったときには、旅客等に対しその内容を伝達するとともに、列車の運転状況、警戒宣言が発令された場合の列車の運転の計画を案内する。出典:山梨県 1)
このように、JR東日本・JR東海共に寝台列車の運行を規制する旨が書かれていますね。
厳密にいうと、この条文は前回規定である「東海地震注意情報」のもので、
現行条文では
鉄道事業者は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)等が発表された場合、安全性に留意しつつ、運行するために必要な対応を実施するものとする。
なお、鉄道事業者は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)等が発表される前の段階から、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)等が発表された場合の運行規制等の情報についてあらかじめ情報提供するものとする。
という、やや曖昧な指示文章に切り替わっています。
今回の対応は、前回条文(東海地震注意情報)をそのまま流用しつつ、今回(南海トラフ地震臨時情報)の「安全性に留意しつつ、運行するために必要な対応を実施する」へ当てはめた…ということでしょうか。
尚、同様の条文はJR東日本の文章でも見られることから、鉄道事業者はもとい各県や市などの関係者同士で共有しているものと思われます。
サンライズ瀬戸・出雲は、東京~熱海間でJR東日本区間を、熱海~米原でJR東海区間を通過しますが、今回の運休もこれに則った対応がなされた結果、立ち入りが規制されたものでしょうか。
関連リンク
参考文献
- 山梨県「第4章 南海トラフ地震に関する事前対策計画 」
- 東日本旅客鉄道「東日本旅客鉄道株式会社防災業務計画」
- 両 鉄 局さんのポスト