第三セクター鉄道など、小さな鉄道事業者でよく見られる「レールバス」という規格をご存知でしょうか。
文字通り「バス部品を使った、もしくはベースにした鉄道車両」のことを指しますが、ちょうど国鉄民営化あたりで富士重工業(今のスバル)がここを狙って作った「LE-Car」というシリーズがあります。
地味な存在ですが、現在の第三セクター鉄道で走っている単行気動車達のご先祖様ともいえる、何気に鉄道史を支えた名車両でもあります。
ただし問題もそこそこあり、例えば「軽すぎて踏切が正常に動かない(近江鉄道)」「バスがベースなので耐久性が異様に低い」など、バスに寄せすぎた故の弊害も見られます。
既に全車が現役を引退しているものの、和歌山には初代「LE-Car」がいくつも眠っているという話を聞き、大阪からちょっと足を伸ばして見てきました
紀州鉄道
まずは御坊市を通る「紀州鉄道」から。
こちらはJRきのくに線の御坊駅より2.7kmちょっと出ている現役の路線で、元信楽高原鐵道のKR301号車などが行き来しています。
この他、もう一つの車両としてKR205号車も在籍。
これら2両は「LE-DC」と呼ばれる規格で、「LE-Car」よりも鉄道に寄せた設計になっています。
そして…こちらが今回のお目当てである「LE-Car」のキテツ1形です。上記2車両と比較すると随分軽そうな出で立ちですね。
実際後ろにいるKR205号車と比べても車体寸法からして小さめで、確かに若干バスっぽく見えます。
2000年に北条鉄道からやってきましたが現在は運行しておらず、紀伊御坊駅構内にて休車の状態。野ざらしなこともあって随分劣化がひどいですね…。
有田鉄道
その1:「ハイモ180形」
もう一つの「LE-Car」もこれまた和歌山にあります。
こちらは既に配線となった「有田鉄道」という路線で、現在は有田川町鉄道公園として整備されている有田川町にて静態保存されています。
JRきのくに線の藤並駅が(一応)最寄りですが、駅からはかなり距離があります
形式は「ハイモ180形」と全然有田に関係ない名前ですが、これは元々在籍していた樽見鉄道からやってきた際にそのままとしたことからこういった名前になっています。
ちなみに「ハイモ」とは「ハイスピードモーターカー」の略だそう。
その2:キテツ1形
もう一つは「キテツ1形」。
(ん…?さっき紀州鉄道の項目で描いたのと同じ…?)と思ったら、なんと紀州鉄道から移籍してきた車両のようでした。
つまり元々北条鉄道の車両だったのを紀州鉄道が受け継ぎ、更にそれを有田川町鉄道公園が受け継いだ…という形のようです。
キテツ1形は2017年にやってきました。
つまり有田鉄道が現役だった2002年時点では存在せず、あくまで鉄道公園となってからの車両です。
残念ながらこの日はピットでおやすみ。
土日には走行しているシーンもあるそうなので、是非見てみたいところです。
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