国交省、近鉄の値上げを認可へ…初乗り運賃180円に

国交省、近鉄の値上げを認可へ…初乗り運賃180円に

国土交通省は、近畿日本鉄道の運賃値上げについて「申請通り認可することが適当である」との答申を国土交通省大臣へ行いました。

今後、斉藤鉄夫大臣の下で国土交通省として正式に認可が行われ、値上げが適用されることとなりそうです。

新しい運賃は2023年4月から適用される予定で、初乗り運賃は180円になります。

 

奈良県知事が懸念

今回の近鉄の値上げについては、県下の主要交通となっている奈良県の荒井知事が公聴会に出席し、懸念を表明していました。

都道府県知事が鉄道運賃の公聴会に出席するのは極めて異例で、平成以降では初とのことです。

 

今日示された国土交通省の資料によると、値上げが適当であるとされる理由として次のような記述があります。

・申請者(近鉄)は、平成7年9月1日から、消費税に係る運賃改定を除き27年近くに渡って値上げせずに現行運賃での運行を実施している
・近年、沿線の人口減少等で輸送人員が平成3年度をピークに減少傾向にある
・近鉄も人件費削減等の経営合理化や、観光・ビジネス需要の取り込み等に取り組んできたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出等により、外出自粛や通勤客のテレワークへの移行等の行動様式の変容がみられ、乗降客数は大きく落ち込んだ。
(令和元年度の収支率は98.1%だったのに対し、令和2年度には69.1%に下落。)

・沿線の人口減少等とコロナでの行動様式の変容が一定程度定着してしまい、需要の回復が見通せない一方で、必要な設備投資は引き続き実施する必要

・以上のことから、鉄軌道事業の経営の健全化を図りつつ、安全性・利便性の確保を図るためにも旅客運賃の上限変更認可を申請した

 

具体的な区間と新料金は?

新しい運賃体系は以下の通り。

出典:近畿日本鉄道「鉄軌道旅客運賃の改定を申請しました」

 

発着地現行運賃値上げ後の運賃
大阪難波⇔若江岩田300円360円
大阪難波⇔近鉄奈良570円680円
大阪難波⇔生駒410円490円
鶴橋⇔河内国分360円430円
京都⇔奈良
近鉄名古屋⇔四日市
大阪阿部野橋⇔橿原神宮前
640円760円
京都⇔橿原神宮前900円1,070円
大阪難波⇔近鉄名古屋2,410円2,860円
大阪難波⇔近鉄名古屋
(ひのとりレギュラー車 利用時)
4,540円4,990円
大阪難波⇔賢島2,350円2,770円
大阪阿部野橋⇔河内長野570円680円
長田⇔生駒390円450円

新運賃がどれほどなのかを代表的な駅で記載しました。

 

けいはんな線=北総鉄道に

今回の値上げでは特にけいはんな線の影響が甚大で、近鉄の基本運賃+建設費償却の費用が上乗せされている為、日本一高い運賃と言われ続けてきた北総鉄道の一部運賃を上回るほどになりつつあります。

キロ北総鉄道(現行)北総鉄道(10月以降)けいはんな線
1-3210円190円220円
4-5310円280円300円
6380円330円300円
7380円330円370円
8-9450円380円370円
10520円430円370円
11520円430円450円
12-14580円480円450円
15-17650円550円540円
18700円620円540円
19-20700円620円620円
21-22750円670円620円

2者の比較。北総鉄道は今年の10月から運賃値下げを行うので、そこも含みました。

まだギリギリなんとか北総より下…をキープしていますが、短距離区間を中心に上回り始めています。

 

 

関連リンク

【近鉄】27年ぶりの運賃値上げを発表。けいはんな線が北総と並び始める…

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参考文献

国土交通省総合政策局運輸審議会審理室『「近畿日本鉄道株式会社からの鉄道及び軌道の旅客運賃の
上限変更の認可申請事案」に関する答申について』

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