京都鉄道博物館にて、非常に珍しい「オヤ31」の車内が拝見できるとのことで弾丸で行ってきました。
ちなみに本当にこれだけの為に行ったので、京都の滞在時間1時間だけで帰ってきました
車体も車歴も複雑怪奇
当サイトでも何度か取り上げていますがオヤ31は建築限界を測定する車両で、車体にトゲ(矢羽根)を並べて、接触すると異物を教えてくれるという仕組み。
駅やトンネルなどの構造物が、走ってくる電車に接触していないかどうかをチェックする車両です。
2022年現在現役で走れるのはこの31号車のみで、他は既に廃車となっているか保存されています(リニア鉄道館など)
驚くべきことに、トゲには1本1本ナンバーが振られていました。これで「○番が接触!」と簡単に把握出来るのですね。
このトゲは全て手動で出し入れが行われており、バネの力で作動するのだそうです。
上部からじっくりと見れることは殆どない機会なので、舐め回すように見まくっておりました…
トゲは車端部・真ん中の2箇所に設置されています。またトゲを確認する為の天窓もそれぞれについています。
オヤはオシ33形からの改造車両。トゲがない方の顔つきは一般的な旧型客車といった佇まいですね。
オヤ31がオヤ31になるまではかなり複雑な経緯を辿っており
スハフ34400形として誕生(スハフ34525、1937年)
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スハフ32形に改名(スハフ32224、1941年)
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進駐軍に接収され、オミ35形11号車に改造(販売車両、1948年)
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オシ33形104号車(軍番号3315、1952年に改造)
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接収解除の翌年、建築限界測定車オヤ31形31号車に(1957年に改造)
という、戦時に翻弄された歴史を歩んでいます。
車内
続いて車内の様子。車体真ん中部分には先程のトゲ(矢羽根)が鎮座しています。
今回一番驚いたのはこのスピーカー。「大227」「宮原区」と書かれている、かなり年季の入ったものです。
オヤ31 31備品表
焜炉 1基
回転椅子 6箇
高椅子 1箇
覗窓 2箇
と書かれており、かなり古いものであると推測されます。
車両の半分はベンチが設置されていました。
泊まり込みでの作業もあったことから、ベッドとしても使われていたのでしょうか…
観測用の部屋には先程の天井が見える小窓の他、側面からも観測できるような設計となっています。
左窓の下に見える機器で、接触した部分を観測していたのだそう。
こんな感じで内部の照明が点灯し、当たった場所がわかるのだそうです。
便所…もといトイレは和式。汚物循環処理装置がないので開放式(直接線路へ…)になっています。
洗面台。窓側にあるのは荷物入れ…ではなく、当時ストーブ用にストックしていた石炭入れなのだそうです。
それとは別に少し大きな洗い場のようなものもありました。これは機器関係の洗浄用なのだそうです。
オヤ31も廃車に?
ということで、非常に貴重なオヤ31を見れる機会となった今回。
昔からその存在自体は知っていたものの特殊車両ということもあってなかなかお目にかかれず、サイト運営開始から15年が経過してようやく見ることが出来、感無量です。
宮原の回送から京都鉄道博物館での展示まで追いかけたこともあり、個人的にも思い入れのある車両となりました。
ただ、京都鉄道博物館に来た車両は廃車となるケースが多く、これまでも
・クモヤ443
・103系NS編成
・クモル145
など全て廃車となっています。このオヤ31の展示も、廃車の布石なのでしょうか…。
京都鉄道博物館さん、ありがとうございました。
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