近鉄長野線の喜志~富田林間(富田林市宮町~中野町)において、高架化事業が進行中です。
高架化工事というと複数の駅が絡まる大工事というイメージですが、今回の高架化工事は非常に短い僅か900mだけの区間であるのが特徴です。
2016年から着工した工事は既に筐体・電気工事もほぼ完了している段階で、事業完了は2022年度を予定しています。
【追記】やや工事は遅れていますが、この度河内長野方面行きの線路から供用が開始されることになりました!2023年6月10日からです!
今回の高架化工事で、2箇所の踏切が解消される予定です。
1997年 | 事業着手、用地買収開始 |
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2016年 | 用地買収完了 高架化工事着手 |
2018年 | 仮線切り替え(下り、河内長野方面) |
2019年 | 仮線切り替え(上り、古市方面) |
2022年度 | 工事完了予定 |
僅か900m程度の工事ですが、富田林市は現在の状況を相当問題視しているらしく、富田林以南の単線問題も含めて立体交差化による高速化を推進しようとしています。
富田林市の公共交通機関の基幹ネットワークとしては、南海高野線と近鉄長野線が位置づけられる。南海高野線は、複線で金剛駅に急行が停車することで、富田林市と大阪都心間(南海電鉄難波駅間)が接続されている。しかし、近鉄長野線は、富田林駅~河内長野駅間が単線であることも一因として、富田林市内には各駅停車しか停車することがなく、ダイヤ編成にも制約が大きくなっている。このため、富田林駅と大阪都心間(近鉄阿部野橋駅間)の所要時間は、金剛駅~難波駅間の所要時間と比べると、相当大きな乖離が存在する。
このような背景から、富田林市東部地域と大阪市都心間を移動する交通を対象として、「近鉄長野線連続立体交差化を長期的視点に立ったまちづくりとして研究する」と、富田林市総合計画でも位置づけられている。出典:富田林市「交通政策の基本方針」
今回の立体交差化では元々複線の区間を複線のまま高架にするだけではありますが、富田林市全体の立体交差化を進める上での嚆矢ともいえる事業となっています。
工事の様子
現地に訪れてみました。既に筐体工事や電気工事などは完成している感じです、
この場所にはかつて旭ヶ丘駅という駅がありました。1945年に休止→そのまま廃止されています。
もし現在も存続していたら、旭ヶ丘駅も高架駅になったのでしょうねぇ
旭ヶ丘駅があったのは、現在いう喜志2号踏切あたりです。
現在運行中の仮線の様子。
従来はこの高架部分に線路がありましたが、一旦東側に線路を移した後で高架橋梁を作っていく…というスタイルです。
高架の分岐部分では不自然なカーブが描かれていて、仮線に移行したことが一目瞭然です。
踏切閉鎖の案内看板。長い間通れない状態が続いているようです
この部分の橋は「桜井1号線架道橋」と書かれていおます。製造は安部日鋼工業、2021年3月製です。
向こう側は車の往来が激しいですね。
粟ヶ池バイパス
往来が激しいバイパス部分にやってきました
こちらも殆ど完成している状態です。
尚2019年8月からは近鉄の高架化を待たず、先行的に粟ヶ池バイパスの供用が始まりました。
これは国道170号線(外環状線、粟ケ池大橋西)と旧国道170号線(中野町3丁目)とを結ぶ道路で、池上に用地を確保しているのが特徴です。
つまり現在は「道路は出来ているけど踏切だけがまだ残っている」状態で、これを解消すべく早急な立体交差化が進められています。
ちなみに
富田林といえばPLの塔…ということで、ついでに見てきました。いや~でっかいなぁ
高架化区間概要
・場所:近畿日本鉄道長野線:富田林市宮町~同市中野町
・対象駅 なし
・事業延長:約0.9km(うち、高架構造部0.44km)
・除却踏切:2箇所
・事業費用:70.7億円
(うち、鉄道高架部に50.7億円、平面道路15.5億円等)
・高さ:17.7m
・完成予定:2022年度
関連リンク
参考文献
大阪府「主要地方道美原太子線 粟ヶ池バイパス」
建通新聞社「【大阪】大阪府 近鉄高架部着手へ準備工を秋にも」
日本民営鉄道協会「大規模工事計画」