いよいよ今日からスタートする4つの鉄道サイトコラボ企画。
既報通り、当サイト→Odapediaさん▶社畜ゲートウェイさん▶Style -Train Graphics-さんという順番で、同じテーマを基にそれぞれが記事を書き、リレー形式で繋いでいくという企画です。
今回のテーマは「雑学」。
それぞれのサイトさんがそれぞれの得意分野においての「雑学」を記事にしていきます。
今回コラボする他の3サイトさんは、いずれも関東の方。
唯一関西在住の私に振られた役割は……そう、関西の電車の雑学でしょう!!
ということで、今回は関西を代表する名列車「221系」のこんな雑学を取り上げます。
期待を背負って出発進行
民営化後、他JR会社がこぞって特急電車を開発する中、JR西日本が手を付けたのは通勤電車の開発でした。
大阪周辺は在阪私鉄の競合が激しかったことから、真っ先に投資するべき電車と判断されたのでしょう。こうして竣工したのが221系です。
どことなく野暮ったい国鉄型設計から脱却した、流線型の車両に真っ白なボディ。
眺望が良い大きな窓にふかふかの転換クロスシート。
各区間を最高120km/hで結び、専用種別「大和路快速」が誕生するなど、まさにJR西日本の期待を背負った新世代の象徴でした。
その名にふさわしく、同期のJR東海311系やJR九州811系に競りがち、1990年のローレル賞を受賞しています。
余談ですが、JR西日本として初めて竣工したのは、なんと宇野線用のクモハ84形。
しかしこちらは改造車で、完全新規設計車両としては221系が初めてです。
160km/を出したのは誰だ?
そんな221系ですが、将来的な特急電車での高速運転を目論んだ160km/h運転の試験を実施することとなりました。
この話自体は、ちょっとJRに詳しい方ならご存知な話かもしれませんね。
では、実際に160km/h運転を行った221系車両はどの車両だったか?
それは、現在奈良電車区に所属する「NB805」編成です。
当時は網干総合車両所に所属していたA2編成で、JR神戸線・京都線の「新快速」などに用いられていました。
この221系を160km/h運転試験に供するべく、こんな調整が行われました。
試験の概要
・T車2つを抜いて3M1Tの4両編成へ組成変更
・歯車比を5.19→3.714へと調整
・ヨーダンパ装置取付
・アンチローリング装置の取付
・信号装置にGG(高速進行)表示を仮設
試験車の概要
場所:湖西線 安曇川→永原間(下り線)
実施時期:1990年5月12日~6月2日(走行は5月20日?)
実施車両:221系4連(元A2編成、現NB805編成)
パンタグラフ:WPS27改
※組成編成
クモハ221-33
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モハ221-33
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モハ220-14
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クハ221-33
160km/h出す用に、車体から信号から全てをそれ用に換装する徹底ぶり。
元々設計最高速度が120km/hですし、当然っちゃ当然ではあるのですが…
高速進行用のGG現示(写真は北越急行のもの)も、仮設とはいえこのタイミングから使用されていたんですね…。
尚、160km/h試験運転はこれまで381系で2度行われていますが、JR形車両が用いられるのは初めてのことでした。
JR西日本が開発した新形式である221系を敢えて用いることで、その流れを汲んだ特急車両設計を行おうとしたからです。
160km/h試験の日程
・昭和59年6~7月:381系…台車とパンタグラフ以外は現車のまま
・昭和60年11~12月:ボルスタレス台車、主電動機、パンタグラフ、振子を新開発
・平成2年(1990年)5月12日~6月2日:221系で実施
この結果
元々車体剛性やギア比などが120km/h前提で組まれていることから、結果的にその後221系が160km/h運転を行うことはありませんでした。
しかし、160km/h運転の実施は681系に、通勤電車の高速化は223系に受け継がれており、この試験の意義は非常に大きいものだったと言えるでしょう。
Next Writer
いかがでしたでしょうか? トップバッターの勤めを無事に果たせているといいのですが…
この調子で、次のOdapediaさんへバトンタッチします!!
明日はどんな雑学記事になるでしょうか、どうぞお楽しみに!!
・Final▶ Soseki -Train Graphics-様(7/2公開)
参考文献
JREA. Vol33 No.12「湖西線の160km/h高速走行試験」北村利明、泉谷隆美