クモヤ443系とは線路や電気の状態などを測る「検測専用電車」で、現在日本で活躍する最後の国鉄式検測電車です。
正式にはクモヤがつかない「443系」という形式名ですが、鉄道ファンからは「クモヤ443系」で親しまれています。
2021年現在は唯一JR西日本が保有しており、北陸から下関まで全国を飛び回っています。
かつてはJR東日本でも保有していましたが、E491系「East i-E」に置換えられ、残りはこの1編成のみとなっています。
先日、関西にやってきていたクモヤ443系を撮影する機会に恵まれましたので、解説も兼ねて振り返ってみました。
今年で45年目
この日は新大阪駅にやってきたクモヤ443系。485系の先頭車からヘッドマーク部分を抜いて改造したような特徴ある顔立ちですね。
設計は485系から流用したのだとは思いますが、実際は改造車ではなくれっきとした新車で落成しています。
車体は赤13号とクリーム4号の組み合わせで、遠方からでも見える警戒色として特に前面ははっきりと塗り分けられています。
また国鉄だった当時は日本全国・津々浦々な路線を検測する必要があり、全高が低い路線(身延線)に入ることもあった為に、やや低めの屋根で落成しているのも特徴です。
側面。「電気検測試験車」という文字が見えるクモヤ443形は架線の検測を行っています。
直流・交流はどちらも対応していることは勿論、50Hz/60Hzの周波数変化にも対応しています。
折りたたまれているパンタグラフは架線を調べる専用のもの。
検測に使用する際にはこのようにパンタグラフを上げており、また夜間では架線の視認用に光量が強い照明が当てられます。
こちらは信号検測を行うクモヤ442形…なのですが、現在信号検測は後輩であるキヤ141形が行っている為、付随しているだけなのだとか。
事業用で編成美を気にする必要がないからか、至るところでパッチワーク修繕…
運転台は485系のような国鉄特急列車と同じく、高いところに設けられています。
車内の様子。落成時期が1970年代ということもあり、インテリアは国鉄型特急電車のようなたたずまいですね。
2021年4月8日、倶利伽羅駅において検測中のクモヤ443系が故障してしまい、津幡まで引き返すという事態が起こっています。老朽化がかなり進んでいるものと思われます…。
まとめ
登場から今年で45年。
非営業用とはいえ、鉄道車両としてはそろそろ寿命を迎えるであろうクモヤ443系ですが、果たしてキヤ141系のような新型検測車両に代替されてしまうのでしょうか。
前回の全般検査は2016年のようなので、動きがあるとすれば(7年周期の)2023年頃…?ですかね。
見かけたら、是非とも撮影しておきたい電車です。
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